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広報誌「ほうてらす」インタビュー

広報誌「ほうてらす」Vol.6 秋号  インタービュー

聞き手 法テラス理事 篠塚 英子

ダニエル カールさんのインタビュー風景
本のような厚さ、30年前の外国人登録証明書
ダニエルさんは来日されて約30年になられますが、これまでに法律的な面で不便や不満を感じたことはありますか。
ダニエル
生まれ故郷と違う国で暮らしてるもんで、やっぱりその国の法律はきちんと守らないといかんなと思うんですよね。無視したりとかいうのは失礼になると思いますので、けっこう気はつかっています。
最初に来日されたのが高校生のとき。そのときトラブルはありませんでしたか。
ダニエル
法律的なことで言えば、外国人だから気をつかうのが入国管理でしたね。最初は一年間の留学ビザで来ましたから、ロサンゼルスの日本領事館での手続きはちょっとたいへんでしたけど、「決して怪しい者ではございません」って言って、信じてもらえました。16歳でしたから。日本に着いたら、外国人登録証明書っていうものを住んでいる所の役場でもらわなければならない。手続きはビザを取るときと変わりませんが、渡されたのが学生手帳のような本。今は1枚のカードになっていますが、当時はちょっとした本のようだったんです。これが身元証明書になるんで、警察に見せろって言われたときに持ってないとエライことになると教わったもんですから、その厚い本をずっと身につけていました。ポケットに入れておくとお尻が痛くなるくらい(笑)。
当時はその本の中に指紋も載っかってたんです、左手の人差し指だったかな。今も役所に登録してるんですけど、それに文句を言う外国人がけっこういるんですよね。「指紋とるなんて犯罪者か」って。でも他の国でもやってることなので大したことではないんですよ。日本人と同じように扱えっていう外国人もいるんだけど、そう考えるのはおかしいと思いますよ。
ビザの更新−原付バイクで山形・仙台間を何度も往復
大学卒業後の再来日のときは山形に来られましたが、住むとなるといろいろと法的な手続きが必要になってくるでしょう。
ダニエル
山形に行ったときは、学生でも就職でもない、教員用の特殊ビザでした。1年の契約だったですけど、山形では人気がありまして(笑)、契約を更新してくれという。仕事はハードだけども楽しいし、やりがいもあるから更新しましたけど、そうするとビザも更新が必要。山形には入国管理事務所がないので、仙台まで行かなければならない。それも街のはずれにあるんです。事務所を探すのがまず大変でした。山形から原付バイクで山を越えて仙台に行き、手続きが済んだら「2週間後にまた来てください」「えーっ、また仕事サボらねばだな」って。ビザの更新には、文部省(当時)だけじゃなく山形県教育委員会も関わっているので手続きに時間がかかるんです。
その後日本人の奥様とご結婚され、お子さんも生まれました。法律的に困ったことなどはありませんでしたか。
ダニエル
アメリカと日本のシステムは、根本的に違うんですね。アメリカには戸籍とか無いですし。どこで産まれて、誰の子孫なのか、そういうのが役場で登録してくれる出生証明書くらいしかないんです。あとは死亡証明書。あぁ日本は全然違うんだなぁと思って。戸籍謄本を見てみると、女房の戸籍に私の名前が入ってる。だから女房が主役。女房の名前の隣にダニエル・カールっていう外国人と結婚したっていうことになってまして。だから息子が産まれたらですね、私の息子っていうよりも女房の息子みたいな感じになっちゃってましたね。日本には私の本籍がないんですから、仕方がないとは思うんですけれども。
おかげさまで息子が産まれるちょっと前に法律が有利になって、二重国籍っていうのが許されるようになりまして。日本では女房の戸籍に載っかってるわけだけども、出生証明書をアメリカの大使館に持っていって、ちゃんとアメリカ人だぞって手続きもやりまして、今はアメリカと日本両方のパスポートを持ってるんですよね。20歳でどちらかを選ぶんですが、昔は20歳なら一人前でしたけども、今はまだ学生ですからね。ちょっと若すぎるんじゃないかなと、心配なんですよ。自分はこれからどういう道を歩むのか、国籍のことも、職業のことも、ある程度キャリアを積まないと、なかなかそのへん選びにくいんじゃないかなとか。これから真剣に考えなければいけないとこなんですね。
紛争解決のお手伝い、法テラスに期待
日本では普通に暮らしていると、一生法律とかかわらない、使わないという人も多いですが、アメリカは国民の権利意識も強いですし、裁判の数も多いですね。
ダニエル
おっしゃるとおりアメリカは、法律の数も弁護士の数も多い。もめごとがあった時にはだいたい法律で定められてるケースが多いですので、裁判までいかなくても、弁護士が間に入って話し合うことによって、法律はこうだよ、裁判になったらこうなるぞってことを説明してくれれば、それで和解することができるわけなんですよ。そういう意味では弁護士さんは紛争を裁判によらずに未然に防ぐような役割もしているんですよ。
アメリカにはほかに、中立的な立場のメディエータ(仲介者)というか、弁護士ではないんだけど法律的な知識が十分ある人たちがいるんですよ。
私は東京で事務所を経営しているんですが、ある人とトラブルになってアメリカで訴えられそうになったことがありました。日本に住みながら訴えられるってことで、どうしようと思ったんですが、幸いにこの仲介者みたいな人が出てきて法律はこうだよって色々説明してくれたんだ。その人の意見にもし満足だったらそれで済むわけだ。でもそれじゃ不満だってことになれば、裁判起こすこともできるわけ。私の場合は相手もわかったっていうことで、結局和解になって裁判になんなかったんですね。そういう仲介者っていうんですか、ありがてぇなと思いました。
私たち法テラスも、設立のねらいはそういうところにありますね。困りごとがあったら全国どこでも気軽に相談でき、紛争予防になる。
ダニエル
そうそう。裁判までいくとお金も時間もかかりますし、ストレスがものすごくたまると思うんですよね。判決はいつ出るのかなって。待ってる間、仕事に集中できねーじゃないですか。そうなる前に気軽に相談できるところが日本にもないかなって思ってたんですけども、法テラスさんがそういう役割をやってくださると聞いて、いやーよかったなぁ、すごくありがたい存在だなぁと思いました。今度困った時よろしくお願いします。
  
今日はお時間をいただいてありがとうございました。

ダニエル カールさん

1960年
米国カリフォルニア州出身。
高校、大学時代に日本に短期留学。大学卒業後は文部省英語指導主事助手として山形県に赴任し、3年間英語教育に従事。その後上京して、翻訳・通訳会社を設立。
約20年前からはドラマ、司会、コメンテーターなどなんでもこなすマルチタレントとして活躍。環境、教育、人権、文化など幅広い分野に関心を持ち、講演活動でも全国を飛び回っている。
ゲスト:ダニエル カールさん


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