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広報誌「ほうてらす」インタビュー

広報誌「ほうてらす」Vol.13 夏号  インタビュー

法テラスは、山の長老のような仲介者。困ったときに相談できるのは心強いですね。

聞き手 法テラス理事・草野満代

登山家 田部井淳子さんのインタビュー風景
若い人が山歩きの魅力に気づいたのはうれしい
草野
最近、「山ガール」「森ガール」という言葉がかなり一般的で人気なんですね。
田部井
そうなんです。私もこの歳で「山ガール」と言われていましてね。実際、山で出会う若い女性が最近多くて、みんなキレイでおしゃれで、楽しそうでいいなと思いますね。
草野
やはりそれだけ惹きつける魅力が山にあるということなんでしょうね。
田部井
最近は山へのアクセスも良くなり、山小屋も部屋がよくなったり、食事がおいしくなったり、服装もおしゃれになっているんですよね。その上、いい風景が見られるし、空気はおいしいし、気持ちいいとあって人気が高まっているのだと思います。
草野
元祖「山ガール」の田部井さんから見て、時代が変わったとか、環境が変わったとか、そんな思いはありますか?
田部井
昔は本当に特殊な人しか行かないような世界だったのですが、たくさんの若い人が山に登って、日本のいい風景を見て、その良さをどんどん広げていきつつあるように思います。私はとてもいい現象だと思います。
草野
登山を始めた頃、どうしてその魅力にはまったのですか?
田部井
山登りは、どんなにゆっくりでも自分が歩いていけば頂上に立てる。それと、どんなにつらくても選手交代はできない。自分の足で来たからこそ、この風景が見られる、という達成感を味わえたのが大きかったですね。
草野
年齢に応じて山とのつきあい方はどう変わってきましたか?
田部井
20代は、とにかく「目指せ、頂上!」という時代でした。
草野
上へ、上へという、新たな挑戦ですね。
田部井
29歳の時に初めて海外の山、アンナプルナIII峰(7,555m)という山に登ったのですが、私は高山病にならず、次の8,000m級の山も行けるかという思いを確信として持てたんです。
草野
山に愛されてる!
地域に触れながら世界各国の最高峰をめざしたい
田部井
35歳の時に女性だけでエベレスト(8,848m)に登りました。行ったら死ぬ、みたいなことを言う方もいましたが、私は都会の方が不可抗力の事故が多いと思っていたので、山は自分の判断が間違わない限り、死ぬ確率は高くないと考えていました。エベレストに登ったおかげで、その後いろんな可能性が開けてきたと思います。
草野
そこから40代・50代と年を重ねるにつれ、「高い山も登れば低い山も登ろう」と、次なる目標をすごく広く設定されたんですよね。
田部井
女性のその年代は、やはり家庭の問題などで、私も含めて家を長い間離れられなくなってきます。行ける地域も山も限られて来る中で、ああ、こういう登り方もあっていいんだ、ということが見えてきたんです。
草野
大きな山の頂上に立つばかりが登山ではないということでしょうか?
田部井
そうそう。そんな風に目がいったら、空港から山までの移動中にいろんな地域の人の生活が見えてきたり、様々な伝統や芸能・芸術と触れ合ったり……同じ地球上で同じ時間を共有しながら、こういう人達が生きているんだ、ということがわかって刺激的でしたね。
草野
これまで、世界的に有名な山ばかりでなく、いろんな国の山に登ってらっしゃいますが、これからの目標をお聞かせ下さい。
田部井
どんな低い山でも、その国の最高峰ってありますよね。できるだけ元気なうちは、各国の最高峰に登ってみたいです。
法というルールのもと、ともに問題解決していく法テラス
草野
外国の山を登っていらして、法律の壁に阻まれたり、何か困ったこと等はありましたか?
田部井
以前、エチオピアの最高峰に登ろうとした時、エチオピア軍から「最高峰は軍の基地になることが多く、軍のレーダーもあるので登っちゃダメ」と言われました。法律というか、やはり平和じゃないと登れない、世界情勢に左右される…ということは肌で感じましたね。
草野
それ以外、何か登山に差し支えたというご経験は?
田部井
荷物を盗まれたとか、何かがなくなったとか、そんな時は別に裁判所に行くわけでもなく、現地の村の長老に「どうしたらいいものか?」と相談して解決してきました。ただ、落石など山の事故が起きて、亡くなったりけがをしたとき、そうした場合はどうするのかな、誰の責任になるのかな、という心配をしたことはあります。
草野
実際、そういうこともあったんですか?
田部井
はい。だから、山登りは全く法とは関係ないかといわれれば、そうでもないなと分かってきました。
草野
やっぱり法律というと、一般の方には敷居が高いですか?
田部井
高い、高い。別世界って感じですね。
草野
そうなんですよね。例えば以前の日本ならば、先ほどの村の長老のような仲介者が地域の中にいて、問題を解決していました。でも今は地域のつながりも薄れて、孤立する人が圧倒的に多くなっているんでしょうね。
田部井
そんな時、誰に相談すればいいのか、心当たりがないと困りますよね。
草野
長老の仲介よりもさらに公平な、法律という誰にも平等なルールによって、一緒に困難を乗り越えていきましょう、ということなんですね。
田部井
山の場合も、山道でのすれ違いのルールとか、未成年のポーターを使用しないとか、注意しなくてはならないルールがありますよね。
草野
田部井さんは山の環境保護についても活動されていますが、それはいわば山の中での「ルール作り」をしていくという作業でもありますよね。
田部井
そうですね。紳士協定のようなものも含めて、いろんなマナーが浸透して、日本の山は本当にキレイになりました。マナーを大切にして、ぜひ多くの皆さんに山の魅力に触れていただきたいですね。
草野
また、ぜひ「山ガール」を率いて、山の魅力を伝えて下さい。本日はお忙しい中、ありがとうございました。

登山家
田部井淳子さん

1939年、福島県三春町生まれ。
75年に世界最高峰エベレストに女性世界初の登頂に成功。92年には女性で世界初の7大陸最高峰登頂者となる。現在も世界各国の最高峰の登頂を続け、山岳環境保護にも取り組む。小学校の恩師に登山の楽しさを教わって以来、山と出会って60年がたつ。
ゲスト:登山家 田部井淳子さん


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