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広報誌「ほうてらす」インタビュー

広報誌「ほうてらす」Vol.22 秋号  インタビュー

自宅にも病院の枕元にも目指すはそんな市民サービス!

聞き手 法テラス 広報室 室長 相原佳子

明石市長・弁護士・社会福祉士 泉房穂さんのインタビュー風景
困っている人の力になりたい その思いはいつも同じ
相原
明石市長に就任されるまでの経緯を簡単にお話しいただけますか。
私は、地元明石で代々続く漁師の息子です。4つ違いで生まれた弟に障害があり、両親も運動して障害児施設をつくったのですが、小学生の頃はよくそこで一緒に遊んでいました。障害を持つ子どもたちの中で育ったこともあり、困っている人の力になりたいと幼い頃から思っていました。大学卒業後、障害や福祉のことを伝えたくてNHKに入局しましたが、本当に困っている人を助けるには弁護士だと考え、司法試験に挑戦。2000年に明石で法律事務所を始め、その後、03年に衆議院議員になり、昨年からは明石市長を務めています。職歴はいろいろありますが、「困っている人を具体的に助けたい」という原点は今も変わっていません。
相原
弁護士時代、当時としては先駆的な取組みである、受刑者や知的障害者の法律相談を積極的になさっていたそうですが…。
万引きの刑事弁護等で接見すると、知的障害だと思われる方がいる。何の支援もないまま刑務所に入れられるのはおかしいという思いがあり、播磨社会復帰促進センターができた時、篤志面接委員になりました。毎月1回、離婚や借金問題等受刑者を対象とした無料法律相談を始めたのです。ただ押し込んでおいて、出所後、また罪を犯したと怒るのではなく、刑務所にいる間に福祉につなぐ等の支援をすれば再犯も防げます。ただ私には「先駆的」という思いはまったくなく、当たり前のことをやっていただけです。
法テラス創設から明石市政につながる3つのポイント
相原
衆議院議員時代、法テラスの創設に深く関わられたとお聞きしていますが、どのような思いで取り組まれたのでしょう。
当時、私は法テラス法(総合法律支援法)の法案担当者の一人でしたが、法テラスに魂を込めたいとの思いから、3つの観点からの充実化を法律に盛り込みました。1つ目は、当初法テラスは弁護士と司法書士だけでしたが、そうではないだろうと。支援が必要な場面はもっと広い。だから、「福祉機関との連携」を条文に入れました。2つ目は、高齢者・障害者は相談に来いと言っても来られないのだから、自宅や病院に行ってはどうかと、「特別の配慮」条項を入れました。そして3つ目は、弁護士であれば誰でも良い訳ではなく、犯罪被害者支援であれば、それに「精通」した弁護士というように、より高い専門性の確保が必要で、そのことを明記しました。この3つです。
相原
市長になられて、今回、任期付き公務員として5名の弁護士を採用されました。
法テラス法に盛り込んだ精神を、まさに現場で実践に移しかけているところです。私が法テラスの創設に関わったのが04年ですから、8年経って具体的に現場で実践し始めたという感覚です。弁護士の市長だから弁護士を採用したのではなく、市民にとって必要な支援を総合的に行っていくには専門職が必要という判断からです。今回は弁護士ですが、次年度は社会福祉士3名と臨床心理士2名も採用する予定です。例えば、弁護士が自宅訪問した際、法律相談だけして帰ってくるのではなく、気付いたらセーフティネットとか介護につなぐ等、そういった目を持って総合的に支援するということが1つ目のポイント。2つ目は「市役所に来てください」ではなく、電話1本で相談者の自宅や病院の枕元まで行こうということです。これは私からすれば当たり前のことですが、これまでの弁護士の採算ベースでは割に合わずできなかったところです。そして3つ目は、やはり誰でも良いのではなく、精通弁護士のようにより専門性・解決能力を持つ人を配置していくことが必要だと考えています。
地域主権は時代の大きな流れ 地方自治体に求められる専門性
相原
明石市の取組みは、地域主権という視点からすると、どのように位置付けられますか。
今、地域主権がどんどん進んでいて、例えば、社会福祉法人の監督権も来年から市に移るように、国から県、県から市へと権限が移譲されるようになってきています。市が責任ある役割を担うには、能力を高めなければならない。つまり、専門職が必要になっているのです。もちろん、ベースとなるのは市職員の能力向上・資質向上・やる気向上です。そこに専門性の高いものを組み合わせる、これが大前提となります。それと、明石は30万人都市ですが、私は人口20〜50万人がヒューマン・ジャスト・サイズだと思っています。つまり、本当に支援の必要な人の顔が見え、かつ地方自治体としても自立した経営が成り立つ規模であるということです。
相原
10月からは市役所に総合相談窓口を開設されるそうですが…。
はい。障害者相談からスタートしますが、高齢者、子ども・児童、DV被害まで少なくともこの4つについては、同じ窓口で支援したいと考えています。一見、児童虐待に見えるケースも、その背後には母親が精神を病んでいたり、祖父母の介護で疲れていたり、いろいろな問題が絡み合って家庭が壊れていることもある。そんな問題を解決するには、総合的な支援体制を敷いてこそ救われる命があるし、救われる家庭もあるわけで、そのためにも専門職が必要となるのです。
相原
大変参考になるお話をありがとうございました。最後に、法テラスへのご意見をお願いします。
立法時の原点でもある、@福祉との連携、A弱者への配慮、Bより高い専門性の確保の3つを、あらためてお願いしておきたいです。特にA弱者への配慮については、法律には「特別の配慮」と書き込みましたが、本来的には当たり前の配慮だと思っています。法テラスには、地方自治体や福祉関係団体との連携による質的なバージョンアップを続けていって欲しいですね。

明石市長・弁護士・社会福祉士
泉房穂さん

1963年兵庫県明石市生まれ。東京大学教育学部卒業後、NHKディレクター、弁護士活動を経て、2003年に衆議院議員となり、犯罪被害者基本法や高齢者虐待防止法の立法化を担当。05年の落選後、社会福祉士の資格を取得し、地元明石市で弁護士・社会福祉士として活動。11年4月明石市長選に出馬し、当選。
ゲスト:明石市長・弁護士・社会福祉士 泉房穂さん


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