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【共同通信】 転ばぬ先の処法箋

冤罪逮捕 発言ままじゃない調書 当番弁護士がスタンバイ

  激しくドアをノックする音で目が覚めた。午前6時! いったい誰だ?
 ドア越しに尋ねると「警察です。捜索・差し押さえ令状が出ています」と男の低い声。事情がのみこめないまま、自宅の家宅捜索が始まった。
 近くの幼稚園に襲撃予告のメールを送った威力業務妨害容疑だという。身に覚えがない。
 「知らない」「やっていない」。警察署の取調室でも懸命に否定したが「動かぬ証拠がある」と聞き入れてくれない。絶望的な気分になったころ、ついに逮捕された。

イラスト:久保山 知里(共同通信社)

 昨年、明るみに出た冤罪(えんざい)もこんな感じだったのだろう。コンピューターウイルスでパソコンを遠隔操作された被害者なのに、4人が各地の警察に誤認逮捕された事件だ。
 逮捕された被疑者は、釈放されなければ検察官に送致され、裁判官が認めれば最長20日間勾留される。この間は警察や検察で取り調べを受ける。再逮捕となると、これが繰り返される。
 取調室は密室だ。取調官は必要に応じて供述調書を作成するが、調書は被疑者の発言をそのまま記録するものではない。取調官がやりとりをまとめ、大半は被疑者の独白調にする。
 これを閲覧、読み聞かせて被疑者が間違いない旨の署名、指印をしたら作成終了。身に覚えがなければ「やっていない」と説明し、調書の内容が違うなら署名せずに修正させることが大切だ。
 非常に残念だが、事実と違う内容の調書は現に存在する。パソコン遠隔操作事件でも、誤認逮捕された4人のうち2人が“自白”していた。
 警察や検察は裁判員裁判対象事件などに絞って、取り調べの録音・録画を試行しているが、威力業務妨害容疑は対象外だ。録音・録画の法制化に向けた議論は法制審議会で続いている。
 長期間身柄を拘束して自白を迫り、否認すれば保釈されにくい現状を「人質司法」と批判する指摘もあり、身柄拘束の在り方も審議会で検討中。
 冤罪防止には逮捕直後から弁護士のアドバイスを受けることが重要だ。各弁護士会には当番弁護士制度があり、警察を通じてでも要請すれば、いつでも弁護士が駆け付ける。
(監修・法テラス)

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