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【共同通信】 転ばぬ先の処法箋

裁判員のメンタルケア 悲惨な写真見ることも 裁判所が柔軟に配慮

 むごい事件だった。若夫婦と乳児が自宅で刺殺された。検察側は被告の男の動機を「遊ぶ金欲しさ」と主張した。
 裁判員としてカラーの現場写真を見せられた。悲惨で、とても正視できない。昼食はのどを通らず、吐いてしまった。でも「国民の義務」だから最後まで務めなければ。
 私も評議に加わった判決は死刑。あれから3カ月になるが、今も脳裏に現場の様子がよみがえり、夜も眠れない。誰かに話して楽になりたいが、守秘義務があるし…。

イラスト:山田紗英子(共同通信社)

 2009年に始まった裁判員制度は、健全な市民感覚を刑事裁判に反映させる画期的なものだ。4年間に裁判員や補充裁判員を務めた人は約4万人。最高裁アンケートへの回答の95%が「良い経験だった」としている。
 とはいえ、心理的負担は小さくない。殺人、強盗致死傷などの重大犯罪が対象だから、法廷に提出される証拠には悲惨な状況を撮影した写真などが含まれることがある。死刑の当否にも向き合わなければならない。
 その結果、ストレス障害になったとして国家賠償請求訴訟を起こしたり、審理のさなかに倒れたりするケースが現実に出ている。裁判員のメンタルケアは、今後も忘れてはならない課題だ。
 裁判所側は負担軽減のため、常時つながる連絡先を記載したカードを配布し、審理・評議では裁判官が裁判員の様子に目を配りながら声を掛けるなどの対応をしている。
 東京地裁では、ショッキングな写真などの証拠が必要不可欠な場合には、裁判員選任時にその旨を告げ、心的外傷(トラウマ)の恐れを感じる場合は辞退を認めるなどの対応を始めた。全国の裁判所にも広がるだろう。
 最高裁は、電話や電子メールで専門家が相談に応じる「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」を設置、対面カウンセリングも実施している。
 確かに裁判員は生涯にわたり評議の秘密などの守秘義務を負うが、過度に心配しない方がいい。医師や臨床心理士らへの診療相談では、守秘義務は解除されるというのが最高裁などの見解だ。
 公開の法廷で見聞したことや自身の感想も対象外。これから裁判員を務める人の参考になるし、制度定着のためにも体験の発信は必要だろう。(監修・法テラス)

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