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【共同通信】転ばぬ先の処法箋

子どもの引き渡し 裁判所による強制執行も ハーグ条約が今後に影響

 「お出掛け」しようと、保育園児の息子と一緒に自宅玄関を出た時だった。「裁判所の執行官です」。2人組の男女が身分証明書を見せたかと思うと、僕から息子を取り上げ連れて行った。「強制執行」と言っていたが、まるで拉致みたいだ。
 協議離婚で息子の親権を取り、一緒に暮らしていたのに、元妻が家裁に親権者変更と子どもの引き渡しを求める審判を申し立て、認められた。もちろん無視していた僕が悪いが、裁判所もここまでやるのか。

イラスト:久保山知里(共同通信社)

 家裁が子どもの引き渡しを命ずる審判をしたのに相手方が応じない場合の対応は法律に規定がないが、判例で強制執行が認められている。
 強制執行には2種類があり、引き渡さなければ「1日につき3万円支払え」などと命じ、不履行に対して金銭的な制裁を加えることで引き渡しを強いるのが「間接強制」。執行官が実際に子どもを取り上げて、引き渡すのが「直接強制」だ。
 直接強制には、子どもの人格を尊重すべきだとする立場から否定的な見解もあるが、意思能力がないと考えられる幼い子どもに対しては認めるのが、実務上の運用だ。
 最高裁は、子どもへの悪影響を防ぐため、保育園・学校や通学路などでの執行はせず、自宅での執行を原則とするルールも作っている。
 国際結婚が破綻した男女の一方が、国境を越えて子どもを連れ去った場合の解決ルールを定めた「ハーグ条約」には、日本も今春正式加盟の予定だが、同条約の国内関連法には子どもの引き渡し方法として、間接強制のほかに「代替執行」がはっきり規定されている。
 代替執行は直接強制とは異なり、原則として、子どもの返還を求める親らと執行官が、引き渡しを命じられたもう一方の親を訪ね、説得などによって引き渡しを受ける穏健な方法だ。
 しかも、国内関連法はいきなりの代替執行は認めておらず、裁判所の間接強制決定が確定してから2週間が経過しなければ、代替執行を申し立てることはできないとしている。今後、国内での親権争いなどをめぐる子どもの引き渡しにも影響を与えそうだ。(監修・法テラス)

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