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【共同通信】 転ばぬ先の処法箋

ADR  裁判より手軽で迅速  身近な紛争解決手段

 大変だ。大学生の息子がわが家の乗用車を運転し、近所で交通事故を起こしてしまった。相手は会社員の男性。側道を歩いているところに後ろから接触し、右腕骨折のけがをさせた。
 まずいことに事故賠償に任意保険が使えない。息子が免許を取るまで運転者は私だけだったので、保険適用の運転者条件を「40歳以上」に限定したままだった。保険会社には頼れないし、どうしたらいいのか。

イラスト:久保山知里(共同通信社)

 賠償責任は免れない。まずは謝罪だ。示談交渉サービスがある任意保険が使えないということは、自分で先方と交渉しなければならない。
 当事者での解決が難しい場合、弁護士らに依頼して裁判で決着する方法があるが、費用や時間がかかるし、そもそも加害者側が訴訟を起こすのは難しい。
 そこで、裁判外紛争解決手続き(ADR)を活用して合意解決を目指すのも手だ。民間のADRもあり、2007年には法務省が紛争分野を特定して民間団体をADR機関として認証する制度もできた。6月末現在、124団体が活動している。
 交通事故を扱うADR機関は、日弁連の交通事故相談センターや公益財団法人交通事故紛争処理センターなど。前者は、加害者側の申し立ても受け付けている。
 ADRでは、その分野の専門家が中立な立場で合意の手助けをする。一般に費用は訴訟よりも安い。時間もさほどかからず、当事者の都合さえつけば申し立て当日から開始可能。夜間や休日に対応するところもある。非公開のため、内容を人に知られることもない。
 行政のADR機関は、消費者問題を扱う国民生活センターの紛争解決委員会、原発事故被害の賠償問題の原子力損害賠償紛争解決センターなどがあるが、分野は限られている。民間ADR機関が扱う分野は多様で、スポーツや医療、ペットなどと幅広い。自転車事故のADR機関も登場した。
 もっとも、先方が応じなければ手続きそのものが始まらない。合意しても約束が履行されなかった場合、仲裁手続きによる合意でなければ強制執行できず、結局、訴訟を起こさなければならなくなる。
(監修・法テラス)

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