ホーム > 最新ニュース > 掲載コラム一覧 > 共同通信コラム > 遺言 民法で厳格に様式規定 安全確実は公正証書方式

【共同通信】 転ばぬ先の処法箋

遺言 民法で厳格に様式規定 安全確実は公正証書方式

 先日80歳になった。貿易の仕事でそれなりの財産はできたし、妻と3人の息子、孫たちに囲まれ、充実した老後を送っている。でも心臓に持病があり、元気なうちに遺言をしたい。骨肉の争いは見苦しいからね。
 どうすればいいんだろう。文章を書くのは苦手だ。しゃべるのは得意だから、自宅のビデオカメラで録画しようか。DVDに保存すれば消えない。名案じゃないか。

イラスト:久保山知里(共同通信社)

 遺言は満15歳以上なら誰でもできる。通常は@自筆証書遺言A公正証書遺言B秘密証書遺言―の3方式。死が差し迫っているような場合は特別な方式も認められる。遺言した人の正確な意思を確認し、内容の偽造を防ぐため、様式が民法で厳格に規定されている。
 自筆証書遺言は、内容の全文と日付、署名を自分で紙などに書き、押印する。手軽に作成可能で、存在自体を秘密にできるが、紛失や偽造の可能性があるほか、内容の不備などを理由に無効と判断されるケースもある。
 遺言を見つけた人は家裁で、様式や内容などを公式に確認してもらう「検認」手続きを取る。
 録画や録音は、紙に書かないため自筆証書遺言と認められない。
 公正証書遺言は、法律の専門家である公証人に口述筆記で作成してもらう。内容の不備などで無効となることは少ない。偽造の恐れはなく、検認は不要だ。
 原本は公証役場で厳重に保管され、正本や謄本を紛失しても再発行が可能。さらに大震災などに備え、電磁化された原本が別に保管されている。安全で確実な方法だが、目的財産の金額などに応じて手数料がかかる。
 秘密証書遺言は、内容を記載した書面に署名、押印して封印し、公証人と証人の面前に提出する。ワープロを使っても構わないが、署名は自書でなければならない。
 内容を秘密のまま遺言の存在を示せるが、公証人は内容について関知せず、不明確などの理由で無効と判断される可能性もある。検認は必要。
 遺言は撤回や書き直しができ、作成年月日が新しい方が優先される。定められるのは遺産分割の方法のほか、子の認知や未成年者の後見人の指定など。元気なうちは自分の死を想像できないだろうが、遺言を考えることは有意義だ。(監修・法テラス)

このページに関するアンケート

Q1:このページの情報は役に立ちましたか?

Q2:このページの情報は見つけやすかったですか?

Q3:ご意見があればお聞かせください。

[お願い]
寄せられた個別のご質問等についてはお答えいたしかねます。従って、個人情報は入力しないでください。