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【共同通信】 転ばぬ先の処法箋

ペットトラブル 人への被害、飼い主に責任 保険、ADRの活用を

 いつかは、と思っていた。悪い予感が当たってしまった。私は司会業の女性。近所の家から飛び出してきたドーベルマンに右手をかまれ、2週間のけがと診断された。
 飼い主の老夫婦が、鎖でつないでいないことが前から気になっていた。怖くてあの家の前は通れない。ほかの犬の鳴き声でもびくびくしてしまう。週末の結婚式の司会は包帯でマイクを持つことに。老夫婦が菓子折りを持って謝りに来たけど、納得できない思いだ。

イラスト:久保山知里(共同通信社)

 厚生労働省によると、2012年度末に登録された犬の頭数は678万5959頭。8世帯に1頭が飼われている計算だ。人が動物にかまれてけがをした事故はほとんど犬が原因。環境省によると、犬による事故は12年度に4218件あった。
 ペットが人に被害をもたらすと、民法の規定で飼い主は損害賠償責任を負う。相当の注意を払っていれば責任を免れるが、証明は非常に難しい。賠償範囲は治療費、通院交通費、入通院慰謝料、後遺障害逸失利益、休業損害などにおよぶ。けがの程度によっては賠償金額が高額になる。
 過去の裁判では、幼稚園児が散歩中の飼い犬に左、首などをかまれた例で、337万円の支払いを飼い主に命じた。左ふくらはぎをかまれPTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症した例では、789万円の支払いを命じた。
 被害者と飼い主が近所同士だと裁判にしにくい場合もある。ADR(裁判外紛争解決手続き)の活用も一つの方法だ。
 万一に備え保険に加入しておくとよい。賠償責任特約があるペット保険商品では、月100円程度の保険料で特約を付けることができる。
 飼い主は刑事上の責任も負う。幼児が土佐犬に襲われて亡くなった例では、重過失致死罪で飼い主に禁錮10月の判決を言い渡したことがある。
 都道府県や市町村が制定した動物愛護管理条例の多くは、犬をつなぐよう飼い主の義務を罰則付きで定めている。狂犬病予防法により、飼い主には年1回の予防注射の接種義務があるが、12年度末の接種率は72・4%。
 ペットは人の生活に潤いや安らぎをもたらす大切な存在だ。だからこそ飼い主は他人に迷惑を掛けないよう、責任をもってしつけや訓練をしたい。(監修・法テラス)

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