ホーム > 最新ニュース > 掲載コラム一覧 > 共同通信コラム > インフォームドコンセント 患者に十分な説明を 臨床研究はより丁寧に

【共同通信】 転ばぬ先の処法箋

インフォームドコンセント 患者に十分な説明を 臨床研究はより丁寧に

 内臓にがんが見つかり、病院で切除する手術を受けた。幸い初期だったので無事退院した。
 今後は定期的にチェックを受ければいい。ほっとした日々を送っていると、担当した主治医が新聞に出ていた。がん切除の新しい方法を確立したというニュースだ。記事を読むと、僕のケースではないか。あれ?新しい手法という説明は聞いていないぞ。

イラスト:久保山 知里(共同通信社)

 医療現場には、インフォームドコンセント(十分な説明と同意)が定着した。患者が自らの意思で治療方針を選択し、納得して治療に同意できるよう十分に医師らから説明や情報提供を受ける。
 患者の治療方針を決める権利と責任は医療従事者側にあるとされた以前の考えは、患者が自己決定する権利を最大限尊重する方向に変わった。
 最高裁が医師に対し、治療を患者に説明する義務があると明言したのは1981年。97年の医療法改正で、医療従事者の努力義務として明記された。最高裁は2000年、患者の治療上の自己決定権が憲法上保障される人権であると認めた。
 インフォームドコンセントが不十分だと、医療関係者は賠償責任を負うことがある。厚生労働省の指針は、医療従事者に対し、病名や病状、治療方法や危険性、代替方法などのほか、臨床研究などの目的がある場合は趣旨や内容を、患者が理解できるよう十分に説明することを求めている。
 患者側も遠慮せず、納得いくまで説明を求め、治療に同意したり拒否したりすることができる。
 一般的な医療方法として確立していない臨床の研究は、患者らに危険が及ぶ恐れを伴うため、より丁寧な説明が医師らに必要とされる。
 厚労省指針では、目的や方法、臨床研究により予測される利益や危険、補償の有無などに加え、患者が同意してもいつでも撤回できると説明しなければならない。
 過去には、説明義務違反があったとして医師に損害賠償を命じた裁判例がある。
 指針はまた、患者側の同意を得ないで、研究結果の個人情報を第三者に提供してはならないとしており、研究発表をする場合は同意を得ておく必要がある。医学が進歩する上で臨床の研究は欠かせないが、患者への配慮が常に必要だ。(監修・法テラス)

このページに関するアンケート

Q1:このページの情報は役に立ちましたか?

Q2:このページの情報は見つけやすかったですか?

Q3:ご意見があればお聞かせください。

[お願い]
寄せられた個別のご質問等についてはお答えいたしかねます。従って、個人情報は入力しないでください。