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法テラス座談会

今求められるセーフティネットとは-司法と福祉の連携を中心に-

【出席者】
[社会学者] 山田昌弘さん [精神科医] 香山リカさん [社会活動家] 湯浅誠さん
法テラススタッフ弁護士 : 太田晃弘 谷口太規
司会進行 : 草野満代

法テラス座談会、テーマは「今求められるセーフティネットとは」です。
雇用、格差、貧困、自殺……、社会の変化とともにさまざまな問題が表面化しているなかで、現代のセーフティネットはどうあるべきか、司法と福祉を連携させることで何か可能性が生み出せないものかということについて、山田昌弘さん、香山リカさん、湯浅誠さんから、それぞれ違ったアプローチからのご意見をいただきました。また、法テラスのスタッフ弁護士として岐阜県可児市に赴任中の太田晃弘、さいたま市に赴任中の谷口太規から、これまで現場でどのように取り組み、どのような課題を見つけたのかを報告し、何を期待されているのか、その中で法テラスにできること、担えることは一体何かということを話し合いました。

仕事の二極化で広がる格差 将来に希望を持てない若者たち

山田 昌弘さん

社会学者 山田 昌弘さん
1957年、東京都生まれ。中央大学文学部教授。専門は家族社会学、感情社会学、ジェンダー論。内閣府男女共同参画会議民間議員などを務める。

草野
本当に今日はお忙しいところをお集まりいただきありがとうございます。まず「今社会で何が起こっているのか」というテーマで、今のこの世の中をどのように見ているのかについて、ご自身の研究活動をふまえてお話しください。山田さんからお願いします。
山田
私の専門は家族社会学なのですが、フリーターとなって結婚できないでいる親同居未婚者「パラサイトシングル」が増えたところから、「格差社会」ということを提案することになりました。1990年ごろから、日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、あらゆる先進国、実は発展途上国も含めて、世界に新しい経済システムが浸透し、仕事の二極化の波が襲ってきました。オートメーション化やIT化、グローバル化によって、知的で創造的な仕事をする人がいる一方、流動的な単純労働者が大量に必要になってしまったのです。90年代後半にその波が日本に来たとき、いい職に就けた若者と、それに就けなかった若者の格差が表面化してきました。製造業であれば作った製品は貯めておけますが、サービス業にはピーク・オフが必ずあるので、ピーク時の労働の必要量とオフ時の必要量は違ってきます。オートメーションになれば検品や清掃などの昇進のない単純労働者が増えてきます。さらに消費者が安いものしか買わなくなってしまいました。私の尊敬するロバート・ライシュ(元米国労働長官)は「安い商品を買うとき、その裏で、低賃金で労働している人がいることを思って買え」と著書で述べていますが、消費者が安いものを求めるようになる傾向が、流動的単純労働者を必要とし、それが日本では若者に押し付けられてしまったというのが私の現状認識です。
草野 満代さん

聞き手
法テラス理事 草野 満代
1967年、岐阜県生まれ。フリーアナウンサー。政府の多重債務者対策本部有識者会議や道州制ビジョン懇談会などのメンバーも務める。2009年4月より法テラス理事。

もう1点、私は2000年ぐらいからフリーターなど非正規雇用の人、100人以上にインタビュー調査をしてきました。女性の場合はほぼ100%親と同居していたので生活はできるのですが、ただ将来展望が描けない。非正規雇用を続けても将来の展望が描けないので、結婚に夢を見るしかなく、男性は一発逆転でビッグになろうという人が多い、という状況を見てきました。それが最近になって、とうとう親が耐えられなくなる状況が出てきました。最近の格差社会の特徴で、親がリストラされたという学生がここ数年増えました。20年くらい前はまだ、当時の40、50代の親、つまり今の60、70代は比較的恵まれていたので子どもを扶養する余裕もありましたが、今はそれがない。それも格差なんです。


草野
私も女性誌で悩み相談室をやっていて、先月の相談者が、今年の春に新卒で就職する大学生だったのですが、今、彼女たちの一番の話題は結婚だというんです。総合職で、大きないい会社に入るのに。会社に入る前に、まず結婚を考える、結婚がすべてと言い切ってしまう。ずいぶん変わったなと思いました。
山田
中央大学では『親の就活』をやっていて、ある女子学生の母親が就活状況の説明を聞いてきたら、帰ってくるなり「こんなに就職大変だったらあなた早くお嫁に行っちゃえば」と言ったそうです。ただ婚活して安定収入の男性を捕まえるほうがもっと大変なんですけどね。
草野
私も言いました。今どき男性に人生の面倒をみてもらおうなんて、かなり甘いですよね。

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