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法テラス東京法律事務所 太田晃弘

声なき訴え・見えない課題 司法ソーシャルワークに取り組む現場から

福祉関係者との連携 弁護士にできることとは

おばあさんが亡くなりました。

イラスト:小池アミイゴ

葬儀には誰も来ません。もっと正確にいえば、葬儀といえるようなものすらなく、火葬場でひっそりと荼毘(だび)に付されるだけでした。

大正生まれ。女手ひとつで会社を経営してきました。そこには、朝の連続ドラマのようなご苦労があったに違いありません。ずっとあとになって生まれた自分には想像がつかない世界だと思います。

私が関わったのは、長い人生のうちの最後の最後。認知症で会社事務所のガスを消し忘れたりするようになりました。事業をめぐる売掛・買掛はそのまま。最後の従業員は数年前に辞めたようです。税務関係事務も放置されました。大家が心配して、地域包括支援センターに相談したので、関係者がおばあさんのことを知り、そこから私にも声がかかりました。

権利・義務などの法的課題は目に見えません。当初は何が起こっているのかもよく分かりませんでした。関係者で調整して、私が成年後見人になりました。日々の生活をサポートするべく、福祉サービスを利用しはじめました。ゴミだらけの会社事務所で家捜しをし、法的課題・税務問題を見つけ出しました。売掛・買掛の整理、税務申告、会社の解散、事務所明渡し、親族との関係修復…、様々な法的課題を解決していきました。

そのあともいろいろありましたが、数年後、おばあさんは病院で亡くなりました。最後まで親族との関係修復はできませんでした。

私が日々関わっているのはこんなケースです。認知症になったり、障がいをもったりすると、法的課題はより見えなくなります。虐待、金銭搾取、訴訟…、いろんなことをされているのに、声すらあげてくれません。それどころか、満足に食べられなかったり、必要な医療を受けていなかったりするのに、福祉関係・医療関係の支援機関にもつながりません。

福祉関係の方々と協働し、法的課題を解決しつつ、ご本人らしい人生をどうやってサポートしていけるのか。おばあさんの最後はこんなものでよかったのか。もっとやるべきことがあったのではないか。

弁護士にできることはちっぽけなことかもしれませんが、小さな骨壺をみながら、そんなことを考えました。

マスク

PROFILE
おおたあきひろ/ 2004年弁護士登録。社会福祉士、精神保健福祉士。特技は最短ルートで訪問先にたどり着くこと。最近うれしかったことは担当している方が無事退院して自宅に戻られたこと。

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