このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
サイト内検索

  1. トップページ
  2. スタ弁がゆく記事一覧
  3. 深刻な後見人不足を打開する新たな試み 佐渡の市民後見人養成講座
本文ここから

深刻な後見人不足を打開する新たな試み 佐渡の市民後見人養成講座

更新日:2018年6月28日

裁判所や福祉関係者と 工夫してつくる講座

本人「わしはずっとこの家で暮らしたいんじゃ」
ケアマネジャー「認知症の傾向が進んできているので、自宅で生活を続けるのは難しいと思います。施設入所を検討しませんか?」
後見人「うーん」

イラスト:小池アミイゴ


 これは実際にあった後見事件…ではなくて、新潟県佐渡市で行われている市民後見人養成講座で名物となっている小芝居の一幕です。新潟港からフェリーで2時間半。離島の佐渡市は高齢化が進み、成年後見を必要とする高齢者が年々増える一方です。ところが、親族を後見人にしようとしても親族全員が高齢者であったり、弁護士、司法書士、社会福祉士といった島内の専門職を頼もうにも、それぞれ限界まで受任件数を抱えていて受けられなかったりして、本来であれば成年後見人が必要な方に後見人を付けられないという現象が深刻化しています。

 そこで、市民の中から意欲のある方を募集し、後見制度の仕組みや法律知識を学ぶ養成講座を経て市民後見人となる制度が導入され、現在では23名の方が候補者名簿に登録され、そのうち9名の方が実際に市民後見人として活動を始めています。

 市民後見人養成講座では、のべ10日にわたり、民法、刑法などの法律知識や高齢者、障害者との接し方、成年後見の仕組み、事務処理のやり方など多岐にわたる分野について、弁護士など専門職、裁判所書記官、福祉関係者等が講義をしています。まじめな座学をひたすら続けるだけでは受講生がつらいので、合間合間に小芝居を行っています。その甲斐もあってか、多くの受講生が講座すべてに出席し、必要な知識を身に付けて巣立って行きました。

 弁護士が養成講座に直接関わることで、単に弁護士が目の前の事件を受任するよりも、はるかに多くの後見人の受け皿を作ることができるので非常にやりがいがあります。

 思わぬ副産物もありました。私自身はもともと、大勢の前に立って話したりするのが苦手でしたが、小芝居を何度もやったおかげで人前で話すのが苦にならなくなり、法廷での立居振舞もよくなった…ような気がします。

法テラス佐渡法律事務所 神田敬郎弁護士
PROFILE
かんだよしろう/2013年弁護士登録。新聞社勤務を経て現職。家族を東京に残して単身赴任中。今の悩みは下の子(1歳)に顔を覚えられていないのでは?ということ。好きな食べ物は佐渡の海産物。


スタ弁(スタッフ弁護士)って?
全国各地にある法テラスの法律事務所等で働く弁護士です。
詳しくはスタッフ弁護士のページをご覧ください。
スタッフ弁護士になりたい!という方はスタッフ弁護士採用サイトをご確認ください。

※掲載している所属やプロフィール情報は、平成29年1月時点のものであり、 現在は異なっている場合があります。

サブナビゲーションここから

スタ弁がゆく記事一覧


以下フッタです
ページの先頭へ