法テラス東京法律事務所だより 2021年4月号
更新日:2021年4月8日
四ツ谷のげんばから
区の職員さんからお電話をいただきました。
- Aさん(70代)は,長年,Bアパートに住んでいます。
- ある日,Aさんは「Bアパートを建て替えることにしたから,自宅を立ち退いて欲しい。6か月間は住み続けてもいいから,その間に転居先を探してくれ。」と大家さんから言われました。
- Bアパートは,確かに古びているものの,老朽化しているとまでは言えない状態です。
- Aさんは「Bアパートから転居すること自体は構わない。ただ,年齢的に転居先を見つけるのは難しいし,転居先が見つかっても転居費用がない。」と不安そうにしています。
- 職員さんは,どう対応するか悩み,法テラスのホットラインを利用しました。
賃貸人が賃借人に対して建物の賃貸借契約の解除を申し入れるときには,「正当事由」があると認められる場合でなければならないとされています。そして,「正当事由」の有無は,(1)建物の使用を必要とする事情,(2)建物の賃貸借に関する従前の経緯,(3)建物の利用状況及び建物の現況,(4)立退料の提示といった要素を総合考慮して判断することになります。
Aさんのケースの場合,正当事由がないため解除は難しいように思われました。そこで,法律相談の上,弁護士がAさんの代理人となり,大家さんと交渉を行うこととなりました。その結果,大家さんから,大家さんがAさんの要望に合う転居先を見つけて確保した上,転居にかかる費用相当額の立退料の支払いをする旨の提案がありました。Aさんは,この内容であればBアパートからの転居に応じてもよいと考えるに至り,この内容の和解をすることとなりました。
Aさんと大家さんとの間で賃貸借契約解除の合意が成立してしまった後だと前記のような交渉は難しかったと思われます。対応に迷ったときは,ぜひすぐにご相談ください。
※ このお話は実例を参考にしたフィクションです。
ホットラインご利用のご案内
当事務所では、常勤弁護士が福祉・医療関係のお仕事をされている方々に(※1)電話情報提供サービスを行っています。ご本人を支援する業務のなかでお悩みのこと(※2)がございましたら、ぜひご利用ください(ご担当ケースにおけるご本人のお名前等をお話しいただく必要はございませんので、まずはお気軽にお問い合わせください。)。
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お問合せ先電話番号 電話:050-3383-0202
よくあるお問合せ 成年後見制度、相続・遺言、債務整理、生活困窮、離婚、賃貸借トラブル、消費者被害、法テラス利用方法など(※3)
※1 支援を受けておられるご本人からの直接のお電話には対応できません。ご本人からの直接のご相談につきましては、法テラス地方事務所にてご予約を承ります。お近くの法テラス地方事務所をお探しの場合はhttps://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/index.htmlをご参照ください。
※2 最終的にはご本人(被支援者様)のために、そのお悩みについて解決の道筋をつけることが目的です。支援者様や支援者様が所属する機関・団体の法務につきましては対応できませんので、予めご了承ください。
※3 ここに掲げたもの以外のお悩みでも、ご遠慮なくお問い合わせください。
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