法テラス東京法律事務所だより 2020年8月号
更新日:2020年8月5日
四ツ谷のげんばから
とある行政職員さんから、お電話をいただきました。
- Aさんは,河原でたき火をした事が契機となって,福祉につながりました。年齢は70歳程に見えます。
- Aさんは,身分を証明するものを何一つ持っていません。そこで,役所がAさんの了解を得て身元調査を行おうとしましたが,何十年もの間路上生活を送っていたため,住民票は見つかりません。Aさんが覚えていた,氏名の漢字と誕生日,子どもの頃の住所を頼りに戸籍を探したところ,どうやらAさんは,戸籍上は死亡していることになっていることが分かりました。
- 担当職員さんは,Aさんの戸籍を復活させることはできないかと考え,ホットラインを利用しました。
Aさんは,親族が申し立てた失踪宣告によって,戸籍上は死亡したことになっていました。
失踪宣告とは,生死不明の者に対して,法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度です。不在者(従来の住所又は居所を去り,容易に戻る見込みのない者)につき,その生死が7年間明らかでないときは,利害関係人は,家庭裁判所に申し立てることにより,失踪宣告をすることができるのです。
戸籍がなければ住民票を作れませんし,身分証明書も取得できません。そのため,銀行口座の開設にも,携帯電話の契約にも,支障が生じます。
Aさんは,職員さんからの電話ですぐに弁護士につながり,家庭裁判所に失踪宣告の取消の審判を申し立て,無事に戸籍を元に戻すことができました。現在は生活保護を受給し,携帯電話も手に入れて穏やかに生活されています。
※ このお話は実例を参考にしたフィクションです。
東京法律事務所だより8月号(PDF:253KB)
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