法テラス東京法律事務所だより 2022年9月
更新日:2022年10月8日
四ツ谷のげんばから
「遺産分割をしたいのに・・・」
とある福祉団体の職員さんからお電話をいただきました。
- Aさんのお父さんαさんが亡くなりました。遺言はありません。
- αさんの遺産としては、複数の不動産と数千万円の預貯金があります。
- αさんの相続人は、わかっている範囲でαさんの子3名、Aさん、Bさん、Cさんです。
- AさんとBさんはαさんの遺産を相続したいと考えています。しかし、相続人の一人であるCさんとは何年も前から連絡を取っておらず、行方不明だとのことです。そこでAさんは、Bさんと2人だけで遺産分割協議をし、相続手続きを進めようと考えています。
- Aさんに相談された職員さんは、困ってしまいホットラインに電話しました。
遺産分割手続きを始めるためには、亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等を取り寄せて相続人を調査し、相続人を確定する必要があります。
遺産分割協議には、相続人全員の参加が必要です。一部の相続人だけで遺産分割協議を行っても無効です。また「相続人の一人が行方不明」との主張にも、単に応答がないだけのこともあれば、連絡先がわからない状態のことも、住民票が職権消除されている状態のこともあります。場合によっては、遺産分割協議の前に不在者財産管理人※1の選任や失踪宣告※2の制度を用いることも考えられます。
このお電話では、Aさんがいう「行方不明」が、どの状態なのかわかりませんでした。
そこで、一部の相続人を排除した遺産分割協議は無効であること、「行方不明」の状態によって手続きが異なることをお伝えし、Aさん自身が直接弁護士の法律相談を受けることをお勧めしました。Aさんはその後弁護士に相談し、無事、遺産分割手続きを終えることができました。
“こんなとき,どうしたらいいんだろう。”お困りの際は、お気軽にホットラインにご連絡ください。
<このお話は実例を参考にしたフィクションです。>
※1 家庭裁判所が選任する、不在者(=行方不明者)の財産を、不在者に代わって管理する者(民法25
条)。
※2 生死不明の者に対し、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度(民法30条)。
ホットラインご利用のご案内
当事務所では、常勤弁護士が福祉・医療関係のお仕事をされている方々に(※1)電話情報提供サービスを行っています。ご本人を支援する方でお悩み(※2)がありましたら、ぜひご利用ください(ご担当ケースにおけるご本人のお名前等をお話しいただく必要はありませんので、まずはお気軽にお問い合わせください)。
ご利用時間帯 平日10:00~17:00
お問合せ先電話番号 0503383-0202
よくあるお問合せ 成年後見制度、相続・遺言、債務整理、生活困窮、離婚、賃貸借トラブル、消費者被害、法テラス利用方法など(※3)
※1 支援を受けておられるご本人からの直接のお電話には対応できません。ご本人からの直接のご相談
につきましては、法テラス地方事務所にてご予約を承ります。お近くの法テラス地方事務所をお探しの場合はhttp://www.houterasu.or.jp/chihoujimusho/index.htmlをご参照ください。
※2 最終的にはご本人(被支援者様)のために、そのお悩みについて解決の道筋をつけることが目的です。支援者様や支援者様が所属する機関・団体の法務につきましては
対応できませんので、予めご了承ください。
※3 ここに掲げたもの以外のお悩みでも、ご遠慮なくお問い合わせください。
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