「夫(おっと)が私(わたし)と離婚(りこん)したいと言(い)っています。私(わたし)は夫(おっと)からお金(かね)をもらえますか。」
更新日:2022年9月22日
私は外国人です。日本人の夫と結婚しています。小学生の子どもが1人います。
夫は、私とはちがう人を好きになり、私と離婚したいと言っています。子どもの世話もしたくないとも言っています。
Q 質問
- 私は離婚したくありません。でも夫が、離婚届<=離婚するときに役所に出す書類>にサインをするように強く言ったので、サインをしました。
私の知らないうちに、離婚届を役所に出すのではないかと心配です。
離婚届にサインをしたら、離婚したことになりますか。
- もし離婚することになったら、私は夫からお金をもらえますか。
子どもは私が育てようと思います。
A 答え
- 次のとおりです。
- 離婚届を役所が受け取っていなければ、離婚したことになりません。
夫が役所に離婚届を出す前に、「離婚届不受理申出書」という書類を役所に出してください。
- 離婚届を受け取っていたら、離婚したことになります。
離婚を取り消すには、家庭裁判所で調停をする必要があります。
- 離婚するときには、次のお金をもらえるかもしれません。
- 財産分与<=夫婦の財産を分けること>により、もらえるお金
- 慰謝料<=つらい思いをした人が、つらい思いをさせた人からもらうお金>
- 養育費<=子どもを育てるためのお金>
説明
1.離婚届にサインをしたら、離婚したことになりますか。
日本では、夫婦がサインをした離婚届を役所に出して、役所が正式に受け取ると、離婚したことになります。
この場合、離婚をなかったことにするには、家庭裁判所での手続が必要です。
まず、家庭裁判所で「離婚無効確認調停」<=離婚をなかったことにするための調停>を申し込み、夫婦で話し合います。
調停で意見が合わない場合には、「離婚無効確認訴訟」<=離婚をなかったことにするための裁判>をすることになります。
放っておくと、離婚を認めたと思われてしまいます。早めに弁護士に相談して対応しましょう。
離婚したくない場合には、役所に「離婚届不受理申出書」という書類を出します。
「不受理申出」とは、あなたが知らないうちに、結婚や離婚などの大事な書類を、誰かが役所に出して役所が受け付けるのを防ぐ制度です。
「離婚届不受理申出書」を出しておくと、あなたが知らないうちに相手が離婚届を出しても、役所は離婚届を受け取りません。
なお、外国人と外国人の離婚では、「離婚届不受理申出」という制度は利用できません。
その場合、離婚する気持ちがなく離婚届の提出に反対していることを、メールや手紙などで相手に伝えて、証拠に残しておくとよいでしょう。
2.もし離婚することになったら、私は夫からお金をもらえますか。
夫からお金をもらうために求めることができる内容は、下の3つです。
- 財産分与<=結婚している間に夫婦が協力してつくった財産を、離婚するときに分けること>
- 慰謝料<=つらい思いをした人が、つらい思いをさせた人からもらうお金>
- 養育費<=子どもを育てるためのお金>
財産分与
結婚していた間、夫婦のどちらか一人が、より多い財産をつくった場合、もう一人がその財産を分けるように求めることができます。
結婚していたあいだにできた財産は、夫婦が協力してつくったものだからです。
例えば、結婚をしたあとに夫が銀行にためていたお金は、2人で分けます。
結婚したあとに家や車を買っていたなら、それを売るなどしてお金を2人で分けます。
慰謝料
離婚のために心が苦しんだ側が、離婚の原因をつくった側に払うよう求めるお金です。
離婚のために受けた苦しみを少なくするためのお金です。
あなたの場合、夫が別の人を好きになって苦しんでいるので、夫や別の人からお金をもらうことができるかもしれません。
養育費
あなたが子どもと一緒に暮らす場合、離れて暮らす夫から子どもを育てるためのお金をもらうことができます。
いくらもらえるかは、あなたと夫が、仕事でどれだけお金をかせいでいるかをくらべて決めます。
子どもが20歳になるまで、毎月、同じ金額をもらうようにするのが普通です。