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52号 アウトドアと法律

更新日:2021年8月30日

アウトドア 楽しむために知っておきたい

楽しむために知っておきたいアウトドアと法律

 アウトドアといえばキャンプ!という方も多いかもしれません。近年、グランピングやソロキャンなど多様なスタイルで注目を集めているキャンプですが、コロナ禍でも密になりにくいレジャーとして興味を持つ人が増えています。
 キャンプ場によっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため入場制限を設けたり、事前に混雑状況が確認できたりと様々な対策がされています。
 例えば、一般社団法人日本オートキャンプ協会のガイドラインでは、県境をまたぐ移動はキャンプ場のある地方公共団体の指示に従う、食材や消耗品の購入を自宅周辺で済ませておくなどの対策を呼びかけています。
 大自然の中で楽しいひとときを過ごすためには、キャンプなどのアウトドア活動をする側もこういったルールやマナーを知り、積極的に理解し行動していくことが大切です。
 そこで今回は「アウトドアにまつわる法律」についてご紹介します。

新型コロナウイルス感染症の影響でキャンプ場が入場制限。予約もしておらず入れなかったので、近くの河川敷でソロキャンプしてもいいよね?

 河川敷や道の駅、私有地などでキャンプをしている人たちを見かけることがあります。そのようなキャンプ場以外の場所でキャンプをするにあたっては、許可が必要な場合があることを知っていますか?
 河川は誰もが自由に利用できる公共の空間です。ただし、河川敷は公園の一部として地方公共団体が占用(使用)している区域も多く、そのような場所を使用する場合は、占用者の使用許可が必要です。公園以外の河川敷は、国土交通省によって管理されています。キャンプを行う場合は一時使用の届け出が必要なので、国土交通省の最寄りの出張所に問い合わせて、指示に従うようにしましょう。
 また、私有地の所有者に無断でキャンプをすると、土地の無断使用や不法侵入にあたる可能性があります。国や各地方公共団体が管理している共有地であれば特別な許可は必要ありませんが、場所や利用目的によっては届出や申請が必要になることがあります。そもそも火気使用が制限されている区域や、水位の変動が激しい河川の側などキャンプすること自体が難しく、禁止されている区域もありますので、まずは事前に管轄の担当部署に確認するようにしましょう。

自宅の庭やベランダでバーベキューを楽しみたい。自宅の敷地内だし、問題ないよね?

 コロナ禍で外出自粛が求められる昨今では、自宅の庭やベランダでバーベキューをして楽しむ方もいるでしょう。そのような際には、燃料や火の取り扱いにも十分に注意しましょう。
 万が一火災が起きて、隣家に燃え移った場合、状況によっては民事上、隣家の所有者などに対して損害賠償責任を負う可能性があります。たとえば、風の強い日に消火の準備をせずにバーベキューをしたり、引火しやすいものをそばに置いたりして火事になった、などがこのケースにあてはまりやすいでしょう。また、(重過失)失火罪などの刑事責任を問われたり、駆けつけた消防隊員や警察官などの指示に従わない場合には、軽犯罪法違反となる可能性もあります。
 自宅の庭などでバーベキューを楽しむ際には、深夜まで騒音を発したり、煙やにおいで周辺住民の迷惑とならないよう、周りの方への配慮も忘れないようにしましょう。

山を買ってキャンプをする人も増えているとか。山の管理者にはどんな責任がある?

 キャンプを目的とした著名人による山の購入が話題となったことで、コロナ禍で「人がいないところでキャンプを楽しみたい」と、山林に土地を購入する人も増えているそうです。
 山林に土地を持てば、だれにも邪魔されず、のびのびキャンプができる!と思うかもしれません。しかし、購入したばかりの土地は手入れがされていないことが多いので、まずは整地から始める必要があります。その際は、けがや事故を起こさないように気を付けましょう。
 また、土地を購入すると、管理者としての責任が生じます。たとえば、所有する区域内で土砂崩れが発生して、周りの民家にまで被害が及んだ場合は、安全配慮義務違反として法的責任を追及される可能性もあります。さらに、ごみのポイ捨てや不法投棄などをされてしまった場合は、そのごみ処理も自費で行わなければなりません。ただし、不法投棄をした人がわかればその人に損害賠償請求をすることは可能です。
 所有する山林で起きたことは、基本的に自分の責任となりますので、リスクをしっかりと理解した上で、のびのびキャンプができるようにしたいですね。

コロナ禍でグループキャンプが禁止に。注意事項をよく読まずに予約して行ったら、その場で利用を断られた。キャンセル料を請求されたけど支払わなければならないの?

 グループでキャンプ場を予約していたのに、グループキャンプが禁止されていて、当日現地で利用を断られてキャンセル料を請求されてしまった、というケースもあるかもしれません。
 そのような場合、キャンセル料を支払わなければならないかどうかは、当事者間の契約(この場合はキャンプ場の約款やキャンセルポリシー)にどう定められているかによります。コロナ禍においては、「体調不良のため」、「家族や同僚などに陽性者が出たため」といった理由があれば、無料でキャンセルに応じてくれるところもあります。また、無料とまではいかなくても、既に準備してしまった食材などの実費相当分のみの支払いになるなど、キャンプ場によっては柔軟な対応をしてもらえるケースも多いようです。
 予約の際、まずは利用条件などをしっかり確認することが大切です。もし直前になってグループキャンプが禁止であることを知った場合は、キャンプ場のウェブサイトなどでキャンセルポリシーをチェックしましょう。キャンセル料があまりにも高額であるなど、納得がいかない場合には、最寄りの消費生活センターなどに相談してみるとよいでしょう。

 

アウトドアに関する各地の条例あれこれ

 自然豊かな地域では、自然環境の保護や景観の保全を目的とするユニークな条例が定められているところがあります。河川敷でのバーベキューや指定エリアでの遊泳、特定の植物や生物の採取といった、アウトドアでよくやってしまいがちなことが禁止されているケースも少なくありません。
 各地方公共団体の条例は、ウェブサイトで公表されており、だれでも閲覧することができます。遠方へ出かける前に、目的地で特別に定められている条例がないかどうかリサーチしてみましょう。その土地のユニークな条例を知った上で訪れると、様々な視点で楽しむことができるかもしれません。

法律と条例の違いは何?

 法律とは国会で審議して制定される国全体のルールのことです。一方、条例とは地方公共団体が定めたその地域のみに適用されるルールのことをいいます。条例といっても、青少年保護育成条例のように、多くの地域で同じようなルールが定められるケースもあります。条例は地方議会において法律の範囲内で自由に策定できるという特徴があることから、地域ごとの特色を色濃くあらわした条例が制定されているケースもあります。一度、日本各地にあるユニークな条例を調べて比較してみるのも面白いですね。一例として、いくつかご紹介します。

日本地図

  1. 北海道漁港管理条例
    北海道
    漁港の区域内の秩序の維持のため、漁港内の指定区域での遊泳や潜水、入水して釣りをする行為を禁止する条例。

  2. すずむし保護条例
    長野県松川村
    村全体を保護区域として、スズムシが生息、増殖できる自然環境と田園景観の保全に必要な施策を講じると定める条例。

  3. 狛江市多摩川河川敷の環境を保全する条例
    東京都狛江市
    多摩川河川敷環境保全区域のほか、公園や児童遊園などでのバーベキュー等や花火などの火気使用を禁止とする条例。

  4. 奈良県山の日・川の日条例
    奈良県
    月の第3月曜日を山の日・川の日とし、奈良県の山と川の果たす役割の重要性や恩恵についてあらためて認識し、それらが有する魅力について理解関心を深めるための条例。

  5. 美しい星空を守る井原市光害防止条例
    岡山県井原市美星町
    美しい星空を守るために、生活に必要な夜間照明を確保しつつも、市民や事業者に光害防止に努めるよう定めた条例。

  6. 沖縄県漁業調整規則
    沖縄県
    水産資源保護のため、造礁サンゴなど特定の水産物の採取や刺網・潜水器具など特定の道具の使用を制限するための規則。

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