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44号 ペットと法律

更新日:2020年10月20日

 このページの内容は広報誌「ほうてらす第44号」(平成30年12月発行)の内容を、令和2年10月に一部修正し、更新したものです。

ペットと法律

 一般社団法人ペットフード協会の調査によると全国の犬・猫の推計飼育頭数は1857万5千頭(2019年10月)となっています。ペットを飼っている人だけでなく、飼っていない人にとっても散歩中のペットに会ったり近所にペットがいたりするなど、ペットは身近な存在です。
 ペットはかわいいものですが、正しく飼うための知識を身に付けておきたいもの。そもそもペットとして飼っていい動物かどうか、ペットを購入する時の契約上の注意点、もしもトラブルになってしまったらどうするか、など実は法律にもペットに関わるものがいくつもあります。
 ペットにまつわる法律についてご紹介します。

家族とペットのイラスト

ペットにできる?できない?

 道端に見たことのない動物がいます。周りに飼い主らしき人はいません。人には慣れているようで、呼べばついて来そうな気が…。さて、この動物を連れ帰り、ペットにしてもいいものでしょうか?
 その動物に飼い主がいる場合、もちろんその飼い主に返してあげる必要があります。飼い主が分からない場合には、警察に届け出る必要がありますが、犬と猫の場合は自治体に引き取りを求めることもできます。そして、飼い主が現れなかった場合、自治体ごとに定めた条件等を満たす場合には、警察や自治体に届け出た犬や猫を改めて引き取って、ペットにできる場合があります。
 このような手順を踏まずに、道端の動物をそのまま連れ帰ることは止めた方がいいでしょう。あとで「飼い主」から返還を求められることも考えられますし、その動物は捕獲や飼育に特別な許可を必要とする「野生動物」や、一般的に飼育してはいけないアライグマ科の一種やカミツキガメなどの「特定外来生物」にあたるかもしれません。飼育の禁止された動物を飼育した場合には刑罰を科されるおそれもあります。
 あなたがもし動物を拾ったら、まずは自治体や警察へ相談しましょう。

新しい家族を迎えよう!「ペットの購入」

 ペットは、これから長い時間を共にする新しい家族となりますね。ずっと健康でいて欲しいものですが、病気で通院が必要になるかもしれません。そんなときに備えてペットの健康保険に入っておくと安心かも。
 さて、できれば避けたいペットの病気ですが、例えば鼻に特徴のある真白なフレンチブルドッグに一目惚れ!購入して、家に連れてきた途端に病気になったという場合、元気な別の子に取り換えてもらうこと…できますか?
 どのような契約をしたか確認しましょう。取引通念上、病気のフレンチブルドッグを売ることが契約内容に適合せず、その責任が買主側になければ、ペットショップに対し、他のフレンチブルドッグとの交換を請求したり、売買契約を解除したり、治療費などを損害賠償として請求したりできる可能性があります。ペットを購入する際は契約内容をよく確認することがとても重要です。
 ついつい一目惚れしてしまうペット。でも、衝動買いにはご用心。契約内容をチェックして、万全の態勢で新しい家族を迎えましょう。

動物にまつわる法律あれこれ

 江戸時代の「生類憐みの令」は有名ですよね。現代でも、動物にまつわる法律が、実はたくさんあります。
 外来生物の輸入や飼育を制限したり、野生動物の捕獲や狩猟を制限するなど、人の手によって動物の生態系を崩すことがないようにしようとする法律や、絶滅危惧種を守る法律、特別天然記念物のイリオモテヤマネコを感染症から守るための条例もあります。
 飼い主は動物の健康と安全を保つように努めなければならないことや、動物の取扱業者を登録制にすることなど、動物への虐待防止やきちんとした取扱いをすることも法律で決められています。
 他にも「ペットフード安全法」(※)では、犬・猫用のペットフードを対象に、製造方法や表示についての基準、成分の規格を定めていて、これに合わないペットフードの製造、輸入や販売は禁止されています。
 どの法律も、動物を守り、人間と動物が一緒に暮らしていくためのルールを定めているのです。
 ※正式名称「愛がん動物用飼料の安全の確保に関する法律」

どうしよう!?「ペットが他人にケガをさせた!」

 「ドッグランでゴールデンレトリバーを遊ばせていたら、突然他人の子どもに飛び掛かってケガをさせてしまった!」
 犬はじゃれついたつもりかもしれませんが、ケガをさせられた方はたまったものじゃありませんよね。動物のやったことだからと、許してもらえないのでしょうか…?
 飼っている動物が他人に損害を加えた場合には、原則として、飼い主等はそれによって生じた損害を賠償しなくてはなりませんが、動物の種類・性質に従い相当の注意をもってその管理をしていた場合には責任を免れるとされています。もっとも、相当の注意を尽くしたとして責任を免れることができるのは、例外的な場合に限られます。例えば、公道で飼い犬を放したような場合には、相当の注意を尽くしたと認められることはなかなか難しいでしょう。飼い犬を放すことが許されたドッグランでさえ、飼い犬が大型犬であったり、飼い主が目を離したりしていたような場合には、責任を免れないかもしれません。
 ペットと暮らすことは、本当に素敵なことですね。でも、ペットを飼うことは社会的な責任を伴うということを、ぜひ忘れないでください。

「ワン!ワン!」「うるさい!」近所の飼い犬の鳴き声が迷惑

 夜遅く、近所の飼い犬が大きな声で鳴いています。鳴いている犬もストレスを溜めていると思うのですが、私たち人間は犬の言葉を理解できません。こんなとき、法律はどんなルールを定めているのでしょうか?
 動物愛護法(※)では、飼い主は、「人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない」と定められていることから、鳴き声が著しく大きく、かつ、長時間であるなど生活に支障をきたすような場合には、飼い主に改善を求めることが考えられます。また、飼主がマンションの住民であったり、賃貸物件に住んでいる場合、マンションの管理組合や大家が、管理組合の規約や賃貸借契約に基づいて、改善を求めることも考えられます。
 さらに、多くの自治体では動物に関する条例を制定しており、生活への支障のみならず、身体にも支障をきたすような場合には、自治体から飼い主に対して改善を命じる措置をとることもできます。
 また、犬の鳴き声が、深夜や早朝にも及ぶ長時間であるために、不眠や神経衰弱の状態になった場合には、飼い主に損害賠償責任(治療費、慰謝料などの支払い)が認められる可能性があります。
 ※正式名称「動物の愛護及び管理に関する法律」

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