このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
サイト内検索
本文ここから

55号 身近な身近な交通事故と法律

更新日:2022年9月7日

正しく知っておきたい身近な交通事故と法律

みなさんは車を運転している最中や自転車に乗っている時、また、歩いて横断歩道を渡ろうとしていて、ひやっとした経験はありませんか?自分は大丈夫だと思っていても、ある日突然、当事者になってしまうことも…。いつでも、誰にでも起こりうる「交通事故」や「交通ルール」について改めて考えてみませんか?

減った?増えた?近年の交通事故

警察庁の発表によると令和3年中の交通事故による死者数は2636人で、5年連続で過去最少となりました。また、交通事故発生件数は30万5425件で、前年より3753件減少しています。

しかし、いまだに、飲酒運転やあおり運転、ながら運転、自転車の迷惑行為、歩きスマホなどが原因で起こった交通事故がいくつも報道されています。

交通事故を防ぐためには、自動車、自転車、歩行者それぞれの立場から交通ルールやマナーについて考えることが重要です。

そこで、今回は、近年改正された道路交通法やつい見落としがちな交通ルール違反についてご紹介します。

もし交通事故にあったら、まずはどうしたらいい?後から困らないための初期対応

交通事故は誰にでも起こりえます。万が一、事故に巻き込まれてしまったときに

冷静に対処できるよう、正しい初期対応について知っておきましょう。

  • 1. 警察へ届ける

加害者からの報告は義務ですが、被害者が届け出ることも必要です。届出をしないと交通事故が起こったことを証明する「交通事故証明書」の交付を受けることができません。

  • 2. 相手を確認

相手(加害者)について、住所・氏名・連絡先・車のナンバー・勤務先・相手が加入している自賠責保険(共済)や任意保険(共済)の会社(組合)名・証明書番号などを確認しておきましょう。

  • 3. 目撃者を確保

第三者の意見として、交通事故の目撃者からの証言をメモしましょう。 また、氏名や連絡先を聞いておき、必要ならば証人になってもらえるように依頼しておきましょう。

  • 4. 自分でも記録

事故直後の記憶が鮮明なうちに、現場の見取図や事故の経過、破損部位や事故現場の写真などの記録を残しておくことも重要です。できれば当事者の会話も録音しておきましょう。

  • 5. 医師の診断

その場では軽症だと思っても、あとで意外とケガが重かったという例もあります。目立った外傷がなくともむち打ち症などの可能性を考え、速やかに医師の診断を受けましょう。

※参考:国土交通省「自動車総合安全情報」HPより

知っておきたい!改正された道路交通法

令和4年5月13日から高齢運転者交通事故防止対策の充実・強化を図るための規定の整備

ここが変わった!

  • 一定の違反歴のある75歳以上の者を対象とした運転技能検査(実車試験)制度の導入
  • 安全運転支援装置が搭載された普通自動車のみ運転できるサポートカー限定免許の導入

近年の高齢運転者による交通事故情勢を受け、2つの制度が導入されました。

一つは、運転技能検査(実車試験)制度です。これは一定の違反歴のある普通自動車対応免許保有の75歳以上の方が対象となる検査で、不合格の場合は免許の更新ができません。

もう一つは、安全運転サポート車等(サポートカー)限定条件付免許です。衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置が搭載された普通自動車のみ運転できます。

令和2年6月30日から妨害運転(「あおり運転」)に対する罰則の創設等

ここが変わった!

  • 妨害運転(「あおり運転」)に対する罰則を創設!一回の違反で免許取消しも
  • 「自転車運転者講習」の受講を義務づけ!自転車の「あおり運転」を危険行為に規定

道路交通法改正以前にもあおり運転は発生していましたが、社会問題となるケースが続発したことを受け、あおり運転(他車の通行を妨害する目的でなされる左記違反行為により、交通の危険を生じさせるおそれのあるような運転=「妨害運転」)に対する罰則が創設されました。例えば、あおり運転により、高速道路上で他の車両を停止させるなど、著しい交通の危険を生じさせた場合には、「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられます。また、一発で免許取消しとなるなど、厳しい行政処分の対象となりました。

自転車の運転者も注意が必要です。14歳以上の自転車運転車が一定の違反行為(危険行為)を3年で2回以上繰り返した場合「自転車運転者講習」を受講しなければなりません。今回の改正で、あおり運転も、その危険行為として規定されました。受講命令に従わない場合には、「5万円以下の罰金」に科せられる可能性があります。

「一定の違反行為」妨害運転の対象となる違反
1車間距離を極端に詰める(車間距離不保持)
2急な進路変更を行う(進路変更禁止違反)
3急ブレーキをかける(急ブレーキ禁止違反)
4危険な追越し(追越しの方法違反)
5対向車線にはみ出す(通行区分違反)
6執ようなクラクション(警音器使用制限違反)
7執ようなパッシング(減光等義務違反)
8幅寄せや蛇行運転(安全運転義務違反)
9高速道路での低速走行(最低速度違反)
10

高速道路での駐停車(高速自動車国道等駐停車違反)


無意識にやっていませんか?交通に関する法律違反

少しくらいなら大丈夫?危険な「ながら運転」

運転中のカーナビやスマートフォンの注視は、画面に意識が向いてしまい、重大な事故につながる可能性のある危険な行為です。ご存知の方も多いと思いますが、令和元年12月から「ながらスマホ」に対する罰則が厳しくなりました。例えば、ながらスマホが原因で交通事故を起こした場合、「1年以下の懲役又は30万円以下の罰金」が科せられ、免許停止処分の対象にもなります。

警察庁の発表によると携帯電話使用等の場合には、使用なしと比較して死亡事故率(死傷事故に占める死亡事故の割合)が約1・9倍となっています。少しくらいなら大丈夫だろうという、その一瞬の油断が悲惨な事故を招いてしまうことにもなります。

ただし、「ながらスマホ」だけに気を付ければよいのかというとそうではありません。例えば、飲食をしながらの運転も、飲み物のフタをあけるためにハンドルから両手を離すなどの行為が、安全運転義務違反に該当する可能性もあるので十分な注意が必要です。

ながらスマホによる接触事故や信号無視で歩行者が加害者になる可能性が。

歩行中の「ながらスマホ」も大変危険です。「歩きながらであれば危険はないだろう」と思いがちですが、実際には「ながらスマホ」が原因で転落事故や接触事故が相次いでいます。また、歩行中にスマホの画面を見ていて目の前の信号が赤信号になったことに気づかず、そのまま交差点に進入して交通事故を起こすケースも増えています。過去には、ながらスマホが原因ではないものの、信号無視をした歩行者がバイクと衝突事故を起こし、歩行者側が書類送検されたケースもありました。このように歩行者も交通事故の加害者となり、責任を問われる場合があります。

現在、「歩きスマホ」を禁止する法律はありません。もっとも、こうした状況を受けて、神奈川県大和市では、罰則はありませんが、全国で初めて「大和市歩きスマホの防止に関する条例」を制定しました。その他、複数の自治体でも同様の取組みが行われるなど、「歩きスマホ」によるトラブルや事故を減らそうという動きが広まっています。

つい軽視してしまうドライバー多数。信号のない横断歩道に歩行者がいる時、きちんと停止していますか?

車を運転していると、信号のない横断歩道を渡ろうとしている人や、渡るかどうかはわからないけれども横断歩道のそばを歩いている人を見かけることも多いでしょう。その場合、きちんと横断歩道の手前で減速、一時停止をしていますか?

横断歩道や自転車横断帯に近づく時には、その手前(停止線がある時はその手前)で停止できるような速度で進まなければならないことが、道路交通法で明記されています(ただし、歩行者や自転車がいないことが明らかな場合を除く)。また、横断歩道の有無にかかわらず、交差点やその近くを渡っている歩行者の通行を妨げてはなりません。運転者の立場になるとつい忘れてしまいがちですが、横断歩道や交差点ではあくまでも歩行者が優先となることを忘れないようにしましょう。

自転車も車両です!守らなければいけない交通ルール!

自転車で急いで目的地に向かっているときに目の前に歩行者がいると、つい焦りもあってベルを鳴らしてしまうことがあるかもしれません。しかし、道路交通法上では、危険防止のためにやむを得ないときなどを除き、歩行者に道をあけさせるため、むやみにベルを鳴らすことは禁止されています。

自転車は免許こそ不要であるものの、法律上では軽車両、すなわち車両として扱われます。そのため、当然お酒を飲んだ状態で乗ると飲酒運転にあたり、違反者には「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」が科せられます。手軽で便利な乗り物である自転車ですが、自分本位な運転は重大な事故につながりかねません。守るべき交通ルールについて、この機会に見直してみませんか。

気になるニュース

その投稿、本当に大丈夫?ドライブレコーダーの映像を動画サイトやSNSでそのまま公開していいの?

最近、万が一の時に備えてドライブレコーダーを購入する人が増えています。ドラレコの普及に伴いよく見かけるようになったのが、SNSへの動画や写真の投稿です。車の運転中に危険な目に遭ったり、事故を見かけた際に、危険な事例として多くの人に広めようと、現場の動画や写真をSNSにアップするケースも少なくありません。

その際、投稿した動画や写真に個人を特定できる情報が含まれているなどすると、肖像権の侵害や名誉毀損などにあたる可能性があります。また、SNS上の他人が投稿した情報の取扱いにも注意が必要です。過去には、事故に全く関係のない第三者があおり運転の当事者であるとの「デマ」が拡がり、SNSで誹謗中傷を受けるという事件も発生しています。

誰でも手軽に動画や写真をSNSに投稿できるような時代になったからこそ、本当に投稿しても問題がないか慎重に考える癖をつけたいですね。

困った時は相談窓口へ

(公財)日弁連交通事故相談センター

(公財)日弁連交通事故相談センターは全国の弁護士会が協力する交通事故専門の相談窓口です。交通事故の損害賠償問題に関する相談を電話・面接相談で受け付けているほか、示談あっ旋及び審査を弁護士が無料で行っています。

無料電話相談 0120ー078325(フリーダイヤル)

【相談時間】平日10時~16時30分 ※水曜日は19時まで(第5週を除く)

相談方法など、詳しくは外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。「日弁連交通事故相談センター」のHP(外部サイト)をご覧ください。

日本司法支援センター(法テラス)

お問合せ内容に応じて、適切な法制度や相談窓口を無料でご案内しています。

法テラス・サポートダイヤル 0570ー078374(おなやみなし)

【受付時間 】 平日9時~21時、土曜日9時~17時※祝日・年末年始を除く(通話料がかかります)

以下フッタです
ページの先頭へ