vol.54　磯野貴理子さん

明朗快活な人柄と飾らない語り口でバラエティ番組を中心にドラマや舞台まで活躍の場を広げている磯野貴理子さん。20代の頃に銀行員として働いた経験や、50歳の時に脳梗塞で倒れ、健康の大切さを知った体験をもとに「働く」ことについて伺いました。

　磯野さん
目の前にお客さんがいて、笑ってくれるのが一番好きですね。バラエティ番組でも舞台でもそれが一番。お客さんがいてくれるのはやっぱりありがたいです。目の前にお客さんがいると頑張ろうと思う。そして怖くもあるんですよね。すっごい緊張するんです。舞台なんて毎日同じことやってるのに毎日緊張するんですよ。でもその緊張感が、終わってみると楽しかったなって思うんです。やってるときはすごく大変なんですけど。終わると寂しいんですよ。またやりたいなんて思っちゃう。　

　磯野さん
今、バリバリにやっている若手は特にそうでしょうね。私も30代、40代の頃はそうでした。１日に何本も収録があって、もう大変でしたよ。だから若い子を見てると「頑張れ！」って思ったりするんです。若い時ってやっとテレビにいっぱい出れるようになると嬉しくて「休みたい」って言いにくいんですよね。そしてできちゃうんですよね。不思議ね。お客さんが見てる舞台なんかは特にね。ちょっと具合悪いなと思っていても、お客さんがいると急にシャキッとしたりして。
私たちの仕事は特殊で、舞台とかは期間が決まっているから頑張りやすいんです。でも体調管理は大変でした。夏に出演した舞台はコロナ禍でもあったので、自分の体のことを毎日あんなに気にしたことはなかったですね。

　磯野さん
脳梗塞だったので、もちろん不安はありましたよ。最初のうちはあんまりろれつが回らない時があったので不安でしたね。当時は仕事優先だったけど、やっぱり健康第一だと思いました。今もそう思ってます。

　磯野さん
今、一生懸命変えようとしてるのは感じるんですけど、変わったっていう実感はあまりないですね。でも女性には頑張ってほしい。女性の管理職ももっと増えてほしいです。私たちの世代は今思うとちょっと押さえつけられていたところもあったから、のびのびとやってほしいです。銀行員時代はそれが嫌というよりもそういうもんだと思ってましたけどね。これからの時代は、女性ならではの意見もどんどん出して、新しいことをやっていってほしいです。

　磯野さん
最初は「弁護士の大先生」なんて思ってたりしたけど、普通の人です。怖くないですよ、弁護士の先生たち。みんな優しいし、親身になってくれるから大丈夫。あと、相談する弁護士さんによって見解が変わるから、それも面白いなと思って。
だからもし自分で相談する時は、自分に合う人を見つけたほうがいいと思いますね。進む方向が自分と違ったら困るじゃない。やっぱり合う合わないはあるから。

　磯野さん　
知らなかったので、広まるといいなと思います。法律事務所に直接電話するのはすごく勇気がいるから、こういう相談できる場所があると心強いと思う。知らない人に教えてあげたいですね。
そして、病気になる前に相談してほしいですね。病気になるまで仕事したら面白くないし、つまんないですよ。絶対、仕事より健康のほうが大事だと思います。病気になるまで仕事しちゃうのはよくない。できるなら早めに休んだほうがいいと思いますし、本当に無理をしないでほしいです。収入のこともあるから働かないといけないとかもあると思うけど、ひとりで悩むより相談して欲しいですね。

　磯野さん　
慣れるまでは本当に大変だと思います。仕事を覚えるまでが大変だろうけど、自分でコツを掴んでペース配分ができるようになるまで、とにかく頑張ってほしいです。
あとね、その仕事を好きになってほしいです。私は銀行で働いていた時はお札数えるのが好きでした。窓口もお客さんと喋れるからそれが楽しくてね。楽しさを自分なりに見つけてやってましたね。なにかひとつでもいいので、「この仕事のここ好きだな」って思うところができたら楽しいかなと思います。

いその きりこ
三重県出身。1985年、女性3人組アイドルグループ「チャイルズ」を結成。「森田一義アワー 笑っていいとも！」で5代目いいとも青年隊に就任。松居直美、森尾由美とＭＣを務める「はやく起きた朝は・・・」は、前身番組を含めると放送25年を超える長寿番組。その他「ホンマでっか!?TV」「行列のできる相談所」にレギュラー出演中。女優としてもドラマや舞台に幅広く活躍している。