p1 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する規程(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の結果について 平成27年10月30日 日本司法支援センター  平成25年6月、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる「障害者差別解消法」。以下「法」という。)が制定されました(施行は一部の附則を除き平成28年4月1日)。  法第9条第1項は、「国の行政機関の長及び独立行政法人等は、(中略)職員が適切に対応するために必要な要領を定めるものとする。」と規定しているところ、平成27年2月には、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)が閣議決定され、各府省庁等はこれら法及び基本方針に即して、対応要領を定めることとされました。当センターにおいても、標記規程を制定することとなり、平成27年8月28日(金)から9月28日(月)まで、国民の皆様から広く意見を募集したところ、12件(1団体)の御意見をいただきました。その概要を取りまとめましたので公表いたします。  なお、取りまとめの都合上、いただいた御意見を適宜整理集約しております。 意見募集の結果  お寄せいただいた御意見の結果概要は別紙のとおりです。  いただいた御意見につきましては、今後の検討の参考とさせていただきます。  御意見をお寄せいただきました方の御協力に厚く御礼申し上げます。 p2 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する規程(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)の結果 〇期間:平成27年8月28日(金)〜平成27年9月28日(月) 〇お寄せいただいた御意見:12件(1団体) 〇お寄せいただいた御意見の概要:下記のとおり 1 第7条「相談体制の整備」について  ・ 障がい当事者が相談にあたるピアカウンセリング的手法を用いるべきことを記載すべきである。  ・ 相談過程でコミュニケーション支援が受けられるよう体制を整備すると共に、当事者が望む者の同行や付添が認められるべきことを記載すべきである。 2 第8条「研修・啓発」について  ・ 全ての職員に対して、障がいの理解に効果的な研修を義務付け、職員の養成においては、専門的なプログラムを組み、福祉施設等における実習を行うべきであることを明記すべきである。研修は、障がいや差別に対する理解を十分に深められるような内容のものでなければならず、定期的・継続的に行われる必要があり、啓発はポスターやリーフレット等が常に目につくよう、日常的に行われる必要があることを明記すべきである。 3 別紙第1「障害者の対象範囲等」について  ・ 「障害」の定義は漏れのないように示す必要があり、過去の障がい、将来の障がいや性同一性障がい等が含まれることを明記すべきである。 4 別紙第2「不当な差別的取扱いの基本的な考え方」について  ・ 「不当な差別的取扱い」の定義を明確にすべきである。関連差別が含まれることが分かるように、「障害又は障害に関連する事由を理由とする区別、排除又は制限その他の異なる取扱いであって、正当化されないもの」と定義すべきである。 5 別紙第3「正当な理由の判断の視点」について  ・ 「正当な理由」については、法定されているものに限るなど極めて限定 p3 的な解釈がなされるべきであることを明記すべきである。 6 別紙第5「合理的配慮の基本的な考え方」について  ・ 「必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること」の記述は、不必要な限定を招きかねないため、「業務に必要とされる範囲で、提供されるべきであること」とすべきである。  ・ 「事務又は事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばない」の記述は削除し、別紙第6の考慮要素の一つとするべきである。  ・ 合理的配慮の定義を「センターが行うべき、社会的障壁の除去の実施のための必要かつ合理的な現状の変更及び調整で、過重な負担を伴わないもの」と明記すべきである。  ・ 「その都度の合理的配慮の提供ではなく」との表現は、その都度の合理的配慮をしなくてもよい、といった誤解を生じうるので、「その都度の合理的配慮に加え」といった表現にすべきである。  ・ 「意思の表明」は、合理的配慮義務の発生要件ではなく、合理的配慮の実現に向けたプロセス開始の要件を例示したものに過ぎない。黙示の意思の表明でもよく、仮に何らの意思の表明がない場合でも障がいの存在や合理的配慮の必要性を認識し得た場合には、合理的配慮に向けた手続に入ることになるものと解釈することを明記すべきである。他方で、障がいのある本人の意思から離れたところで意思解釈がなされることのないよう注意すべきであることを明記すべきである。 7 別紙第6「過重な負担の基本的な考え方」について  ・ 司法分野に関わる援助に関する手続上の配慮においては、「過重な負担」については極めて限定的に考慮すべきことを明記すべきである。