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アメリカのBerkeleyからこんにちは!第四回 (東京・橋ケ谷佑可弁護士)

更新日:2020年9月30日

法テラス東京法律事務所 橋ケ谷佑可弁護士(新63期)

Vol. 5 BLMを学び、そして行動する

 2020年5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで、アフリカ系アメリカ人の男性ジョージフロイドさんが亡くなりました。死因は窒息死。約8分もの間、白人の警察官が、フロイドさんの頸部を膝で押さえ続けたからでした。フロイドさんは「I can’t breathe.(息ができない。)」と何度も繰り返し嘆願しましたが、警察官は、彼が動かなくなっても止めませんでした。
 
 Black Lives Matter (BLM)。フロイドさんの事件をきっかけに黒人差別への抗議運動が全米に広がり、気が付けば私たち家族もその渦中にいました。今回は、私が肌で感じ学んだBLMについてレポートします。

 COVID-19による外出制限が3月に始まってから約2ヶ月間、私以外の家族は自宅敷地から一歩も外に出ない生活を続けていました。フロイドさんの事件を知ったのは、ようやく、屋外でのアクティビティが一部解禁され、カリフォルニア名物さくらんぼ狩りに出かけた翌日のことでした。ふいに目に飛び込んできた記事に、息ができなくなりそうなくらい心臓がバクバクして涙が溢れてきました。
 警察官は、周りに居合わせた住民が状況を撮影していることを認識していたのに、そして目撃者の「もう止めて!!」という声が耳に届いているのに、なぜ、止めなかったのか。許される行為だと思っていたのか。警察官に対する何故?を確かめるために、何度も映像を観ようと試みました。しかし、その度に、自分の中の何かが崩れ落ちてしまいそうで、未だにその映像を観ることができずにいます。

 アメリカ全土に、フロイドさんの死に抗議する活動が瞬く間に広がりました。私が住むカリフォルニアのベイエリアでも、主要幹線道路やハイウェイが封鎖され、大規模な抗議デモが連日行われました。抗議デモが暴動や銃撃戦に発展することもあり、近所の商店は、いつの間にか、全面板張りになっていました。夜間の外出禁止令が発令されると、いよいよ暴動や銃撃戦に巻き込まれるのではないかと、日中も外に出られなくなりました。
 渡米して3年、日本では絶対に感じることのない種類の恐怖に、初めて「日本に帰りたい。」と泣き言を口にしそうになりました。

 そんな混乱の中、数日も経たないうちに、沢山の大人たちがこの一連の出来事を子どもたちにどう伝えるのか、話し合いを始めました。物凄い勢いとスピードで、大人たちが、子どもにお勧めの絵本リストや子どもへの声かけの方法等をSNSでシェアし始めました。3歳と5歳の娘に、私は何を語ることができるのか。そもそもアメリカに3年しか住んでいない日本人の私に語る資格があるのか?ずっとずっと考えていた私に、友人がシェアしてくれた次の言葉たちは、すーっと染み込んで、ついでに私の背中をそっと押してくれました。
「Your kids aren’t too young to talk about Race. 」
「The best advice I can give parents is to be models for the attitudes, behavior, and values that they wish to see in their children.」
 
 BMLを学び、そして行動する姿から、子どもたちが何か感じとってくれたら。

 そのために、BLMに関連する文献を読み漁り、ドキュメンタリーを観ては、友人や夫と何度も話をしました。子どもたちとは、友人のおすすめリストから3冊本を購入して、一緒に読み、色んな話をしました。

*おすすめの本
Let’s Talk About Race
Last Stop on Market Street
The New Jim Crow: Mass Incarceration in the Age of Colorblindness
The Color of Law: A Forgotten History of How Our Government Segregated America
 
 
*おすすめのドキュメンタリー
True Justice: https://eji.org/projects/true-justice/
13th: https://www.youtube.com/watch?v=krfcq5pF8u8
このドキュメンタリーを見て、初めて、黒人がリンチを受けていた時代があったことを知り、アメリカ合衆国憲法修正13条と留学中に学んだMass Incarceration(大量投獄システム)の繋がりにも気づけました。

 当時、カリフォルニアでは、COVID-19の感染者数は上昇を続け、一日の新規感染者数は2700人近い状況でした。当然、多数人が集まることは禁止、全ての小学校と多くの保育園が閉鎖されている時期でした。さらに、このKIDS MARCHが行われるOaklandは、決して治安が良いとは言えないエリアで、数日前にも抗議活動中に参加者と警察官が銃撃戦となり一人が死亡する事件が発生していました。それでも、私は、最終的に、COVID-19感染のリスクと暴動に巻き込まれる危険性を最小限に抑える対策を取った上で、子どもたちと一緒にMARCHに参加する、という決断をしました。それは、きっと、私がアメリカのカリフォルニアのベイエリアという場所で、今、生きているから。誰かに非難されるかもしれないということに恐れることなく、自分で考え、判断して、行動することができる場所だから。たとえ、それがCOVID-19に感染するリスクを含んでいても、自分たちが声を上げ抗議することがどれほど尊いことか、ここに住む人々は知っているから。そして、子どもにだって、自分で考え、行動して、声を上げることが許されている。
 そんな場所に、今、子どもと一緒に立てることが、とても愛おしく感じられました。

 6月7日、OaklandのFairylandには4000人を超える人々が集まりました。マスクを着用して、ソーシャルディスタンスを保ちながらの平和的なマーチ。

マーチ

 手書きのプラカードには、それぞれの思いが溢れていて、それを読むだけで目頭が熱くなりました。
 そして、自らの意思でここに来て、自分の言葉で声を挙げる子どもたちの姿が何だか眩し過ぎて、ずっと忘れられそうにありません。

** Oakland Children Marchの様子はこちら→ :https://www.berkeleyside.com/2020年06月08日/oakland-children-march-for-black-lives-i-just-really-want-to-spark-a-change
 掲載されている写真だけでも見てみてください。
 
 
 自らの意思で集まり、自分の言葉で声を上げる子どもたちだけのグループも沢山見かけました。こんな光景、日本では絶対に見ることができないなと、アメリカ(カリフォルニア)の底力を見たような気がしました。

家族と

 アメリカでは、「Black Lives Matter」(黒人の命は重要だ)という言葉に対して、「All Lives Matter」(全ての命が重要だ)という言葉を使うべきだという主張もあります。ヒスパニックやアジア系人種、女性など、様々な属性に対する差別が存在するからです。

 私も、「All Lives Matter.」と「Black Lives Matter(BLM).」、どちらをプラカードに書くか、相当時間をかけて考えました。
 その時、相談に乗ってくれた友人(4歳の時に中国からカリフォルニア北部の町に移り住んだUC Berkeley学部2年生)の話を最後に紹介したいと思います。
 「私は、私以外全員白人の町で育った。とても保守的な町で、ひどいいじめにもあったし、白人至上主義者から汚い言葉を浴びせられたことも数えきれない程ある。でも、Chinese-Americanの自分のLivesもMatterだ! All Lives Matter! と、叫ぼうとは思わない。今は、叫ぶべきじゃないと思っている。何故なら、私も人種差別にあってきたけど、Blackの人たちが受けてきた、そして今も受け続けている仕打ちとは、全くもって異なるものだと思っているから。人種差別にはあったけど、命の危険を感じたことはないし、何かを諦めなければならなかったこともない。親から警察に職務質問された時にどう受け答えをしなきゃいけないのかを教わる必要もなかった。ベイエリアに来てからは、様々なバックグラウンドを持つ人々の中で、Asian-Americanとして、むしろPrivilegeがあるとすら思える時もあった。だから私は、Asian-Americanとして、All Lives Matterとは叫ばない。」

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