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アメリカのBerkeleyからこんにちは! 第1回

更新日:2020年2月10日

法テラス東京法律事務所 橋ケ谷 祐可 弁護士(新63期)

Vol.1 留学を決意した瞬間

 人生で何度か、心が震える瞬間がありました。
 
 その1つが、 The Bronx DefendersというNYにある公設弁護人事務所のスタッフを紹介するページの【SOCIAL WORKER】と言うタブをクリックした瞬間でした。
 生き生きとしたとびっきりの笑顔のソーシャルワーカー30人以上の顔写真が並んでいました。顔写真にカーソルを当てると、一人一人、どのような教育を受けてきたのか、そしてソーシャルワーカーとしてどんな仕事をしてきたのかが表示されます。

外部サイトへリンク 新規ウインドウで開きます。https://www.bronxdefenders.org/who-we-are/our-staff/(外部サイト) 新規ウィンドウで開きます。

(↑クリック!してみてください。)

 なぜか直感しました。
 Bronx Defendersのソーシャルワーカーは、弁護士の補助的な役割ではない。弁護士と対等な立場で、プロフェッショナルとして責任と誇りを持ってクライエントと向き合っているのだろう、と。
この瞬間、私はアメリカに留学することを決意しました。

 それから約2年後の2019年7月、University of California Berkeley、Law Schoolでの留学が始まりました。私の調査・研究のテーマは、「弁護士とソーシャルワーカーの効果的な協働」です。Bronx Defendersが実践している【Holistic Defense】(刑事弁護人、ソーシャルワーカー、移民弁護士、家族法弁護士等がチームを組んで、クライエントの法的問題のみならず家族や福祉的な問題も包括的に解決しようという実践。)を日本でも、特に公的事務所である法テラスで実践したい!いや、法テラスでこそ実践すべきだ!という信念と反省が私を突き動かしています。

Vol.2 留学の原動力となった奈良での経験

校門

 法テラス奈良に赴任したのは、今から7年前。決して司法過疎地とは言えない奈良市内にある事務所に赴任を命じられ、自分にできることは何か探し続けた2年半でした。
 これまで弁護士の手が届かなかった人たちはどこにいるのか、地元の福祉関係者の助けを借りて、一人ずつ一人ずつ、手を差し伸べる毎日でした。

 2年半の間に16人の成年後見人等に任命されました。事務局さん1人、弁護士1人の事務所では、一般民事と国選弁護に加え、この数の成年後見人等としての職務をこなすのは容易いことではありませんでした。しかも、私が受任する事件は、いわゆる誰も受けたがらない事件ばかり。
 あるときは、依頼者のおじいちゃんの自宅で精神を病んでしまった息子さんからゴルフクラブを振り回され、傷害事件の被害者になったこともありました。またあるときは、依頼者のおばあちゃんの預貯金を搾取している弟に、包丁を持って脅され、地域包括の職員さんと走って逃げたこともありました。

 そんな波乱万丈の2年半のおかげで、気付かされたこと。それは、法テラスのスタッフが手を差し伸べなきゃいけない人の多くは、自ら助けを求めることができない人たちだと言うこと。そして、彼らの多くは、法律問題だけではない、様々な問題を抱えてしまっていること。
 弁護士である私一人の力では、その人の「生きづらさ」を取り除いてあげることはできないこと。

 幸いにも、奈良では、一緒に依頼者の問題を解決してくれる専門家と繋がることができ、依頼者が安心して暮らしていけるよう手を差し伸べてくれる地域の人たちの助けを得ることもできました。
弁護士を依頼者とつなぎ、依頼者を専門家とそして地域とつなぐ。福祉の現場で働くソーシャルワーカーのおかげでした。

 ソーシャルワーカと弁護士が常にチームを組んでコラボできる仕組みを作ることはできないだろうか?漠然と考えていたことが、次第に「ソーシャルワーカーと弁護士の効果的な協働」をアメリカの実践から学びたい!日本でも実践したい!という確固たる決意へと変わっていきました。
 奈良でのスタッフ弁護士としての経験が私の留学の原動力です。
 (なお、留学に直結するかと思われるような英語の案件等は一切やっておりません!)

 次回は、私を留学へと導いてくれたThe Bronx Defenders訪問記をお届けします!
【コラムの続きはこちら】アメリカのBerkeleyからこんにちは! 第2回

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