あのときの選択は間違っていなかった ースタッフ弁護士に転身してー
更新日:2019年9月4日
法テラス静岡法律事務所 中野 聡 弁護士(60期)
私は、7年弱、企業法務中心の事務所で勤務した後、スタッフ弁護士になりました。
そして、スタッフ弁護士歴も、もうすぐ5年です。
「なぜスタッフ弁護士に?」よくそう聞かれます。
移籍前の仕事は、訴訟、調査委員会委員、株主総会指導、予防法務など様々でした。
法律解釈に頭を悩ませ、知的好奇心をかき立てられる、やりがいある仕事でした。
待遇面も不満はありませんでした。
ただ、いつからか、小さな違和感を抱いていました。もともと私の原点となる弁護士像が依頼者の人生に深く関わる「マチ弁」のそれだったからかもしれません。
そんな時、スタッフ弁護士の取り組みに関する新聞記事に巡り合いました。
司法ソーシャルワーク。
「相談を待つのではなく、課題を探り、自分から働きかけ」、「福祉や医療に携わる人たちと連携する」ことで、「新しい弁護士像を作」る取り組み。
「これだ!」と思いました。
ちょうど、手持ち案件が次々と終わったタイミングとも重なりました。
そこで、「転身するなら今しかない!」と、スタッフ弁護士になったのです。
移籍後の仕事は、金銭問題や家庭の問題などがほとんど。
法律解釈自体は、基本的なものが大半です。
ところが、高齢・障がい等様々な事情で、依頼者の多くは、自分の状況を伝えることすらままなりません。さらに、法的課題以外の課題も抱えていることがほとんど。
いかに依頼者から話を聞き取るか、いかに分かりやすく伝えるか、法的課題以外の課題についても、いかに関係機関と協力しながらケアするか・・・
移籍前とは、頭の使いどころが全く変わりました。
依頼者との関わり方がより人間的な、今の仕事の方が私の性には合っています。
移籍前後の年数が近くなった今、こう思っています。
「スタッフ弁護士になってよかった。あのときの選択は間違ってなかった!」と。