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人の人生の岐路に立つ

更新日:2020年3月11日

京葉船橋法律事務所 立花 朋 弁護士(スタッフ弁護士OB)

立花弁護士

弁護士になって初めて入った事務所はいわゆる渉外事務所と呼ばれる企業法務中心の事務所でした。マスコミで取り上げられる案件やビジネスの世界の最先端の法律問題を考える案件などに関わり、大変貴重な経験をさせてもらったと今でも思います。
しかし、1年ほどでその事務所を退所し、法テラスのスタッフ弁護士になりました。当時は「一体どんな心変わりが!?」と何度も同じような質問を受けました。

スタッフ弁護士になった理由は色々ありますが、社会の中でより弱い立場に置かれている人たちのために自分の能力を活かした方が社会のためになるのではないか、という思いが一番大きかったように思います。加えて、もっと他人の人生に首を突っ込んで、人間臭い仕事をやりたいという個人的な好みの問題も大きかったかもしれません。

スタッフ弁護士になってから、紙面を賑わすような大企業の事件にも億のお金が動くような事件にも縁はありません。しかし、人の人生の岐路に立ち、その後の人生をガラリと変えるような事件にはたくさん出会ってきました。そして、多くの事件において、私の依頼者は社会の中で弱い立場に置かれている人たちでした。最終的に人身保護請求まで手段を尽くして、DV夫の下から幼い娘を取り戻したお母さんの事件、認知症の影響で財産管理ができず、明日の食べ物にも困っていた独り暮らしのおばあちゃんの成年後見人になり、行政、福祉と3人4脚で生活環境を根本から立て直した事件、起訴された3件全部について無罪判決を勝ち取り、休学手続を取っていた大学に再び通うことができるようになった青年の事件など、記憶に残る事件を数えればきりがありません。
 先日は、これから長い服役に入る依頼者から、弁護人との接見を重ねる中で自分の中の問題と向き合えるようになった、物事の考え方が以前とは全く変わった、これから先は自分の力で変えていく、という力強い内容のお手紙が届きました。依頼者からもらったこうしたお手紙は、1通1通大切にファイリングするようにしています。私が今の仕事で得てきた大切な宝物です。

自分の仕事の良し悪しで、それまで全くの赤の他人だった人のその後の人生がガラリと変わる。そこで負う責任感の重さは、並大抵のものではありません。特に、法テラスのスタッフ弁護士の場合、社会のセーフティーネットという側面もあるため、「この人にとって自分は最後の砦である」というプレッシャーを感じる場面も少なくありません。しかしその分、良い結果につながったときの喜びや達成感は、言葉では到底言い尽くせるようなものではありません。弁護士になって良かったと心から思える瞬間です。法テラスに入ってから、そうした瞬間を何度も経験することができたのは、本当に幸運なことだったと思います。
 自分が身につけた力、これから身につけていく力を、弱い立場に置かれて困っている人たちのために活かしたいという志を持っている方には、ぜひ法テラスのスタッフ弁護士として、その力を思う存分発揮し、その志を貫いてほしいと思います。

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