あなたには気軽に相談できる専門家たちがいますか?
更新日:2019年6月5日
法テラス魚津法律事務所 村山 勇輔 弁護士(新61期)
「もっと早く相談に来てくれていれば…」
「相談するだけなら気軽にしちゃえばいいのに…」
「悩んでいる時間がもったいない。」
弁護士をやっていると、そう思うことが少なくありません。
でも、いざ自分が専門外の課題に直面したとき、気軽に相談できる専門家たちが揃っているかと尋ねられると、なかなか顔が浮かんできません。
富山県にある黒部市社会福祉協議会は、2019年3月から月に1度、各分野の専門職を集めた事例検討会を行なうことにしました。
第1回に参加したのは、ケアマネジャー、ヘルパー、障がい者の相談支援専門員、社会福祉士、大学の研究者、スクールソーシャルワーカー、保健師、そして法テラス魚津のスタッフ弁護士でした。
最初に事例提供者がケースの概要を紹介し、参加者が事実関係で気になるところを質問した上で、その当事者の強みと課題を出し合い、その課題を解決するためのアイディアを出し合う。
このような手順で一つの事例を1時間半ほどの時間をかけてじっくり検証します。
「本人のADL(※)はどうなっていますか?」
「本人の生きがいは?」
「褥瘡(じょくそう) ができたりしていませんか?」
「介護サービスを利用するなら通所よりも訪問の方が良いのでは?」
「主治医にもうまく協力してもらえるといいですね。」
他の専門職の知識や経験、発想、視点はとても新鮮です。
逆に、私たち弁護士の知識や経験、発想、視点もまた、他の専門職にとっては同じことなのだろうと改めて実感します。
新しい知識や経験、発想、視点は、それまで見えていなかったものを見せてくれます。
それまでは解決困難だと思い込んでいた課題が、実は法律によって解決可能だと気づくチャンスになります。
私たちは、こういったチャンスを生み出すようなネットワークに協力していくことで、その地域社会に潜んでいる司法へのニーズを顕在化させたいと考えています。
そして、顕在化したニーズに対しては、個別の紛争を解決していくとともに、地域全体の取組みを後押しすることで、それに応えられるサービスを提供していきたいと考えています。
※ADL…起居・移動・食事・更衣・排泄・入浴など、日常生活を送るために最低限必要な動作のことで、高齢者や障害者の方の身体能力や自立レベルを図るための指標になっています。
*プラシバシー保護のため、写真の一部を加工しています。写真奥で立っているのが村山弁護士です。