しんどくなるときはあるけど、また頑張ろうと思えるんです
更新日:2019年3月1日
法テラス阪神法律事務所 松浦 真弓 弁護士(67期)
Q.子ども支援に力を入れているんですね
――通常の弁護士業務をしながらではありますが、弁護士1年目の養成期間には大阪府で、阪神に赴任してからは兵庫県でも、子どもシェルターの立ち上げに関わりました。虐待などで居場所のない子どもたちの緊急避難場所、居場所づくりです。
Q.松浦さんが動かしたの?
――いえ、私は声をかけただけです(笑)。
兵庫でも、子どもシェルターを作ろうと有志が動き始めたが途上であると知って、大阪での経験から「作りましょう!」「やりましょう!」と言い続けました。中心になってくださる弁護士がいて、その方の人脈で福祉関係者や大学の研究者などが集まって準備会を1年続けて、形になりました。オープンしてちょうど1周年です(注:インタビュー当時)。
Q.できたシェルターとはどんな関わりを?
――シェルターは,入所した子どもに安心・安全な場所で心身を休めて貰って,これからのことを一緒に考えていく場所です。
兵庫では一軒家を利用していて、関わるみんなが意見を出し合ってその子のためにはどうしたら良いか悩みながら考えて運営しています。
親権の問題など法的課題があれば、弁護士が弁護士として意見を述べたり手続に関わるために参加していますが、基本的には「弁護士だからこれをやる」「弁護士だからこれはやらない」と線引きしません。それは大人の都合であって、その子の助けにならないからです。
ですので、親子関係の調整が必要な場合には,面談をしたり,学校への通学がその子にとって必要であれば送迎をしたりとその子に沿った必要な支援を分担しています。
Q.今の活動は、松浦さんがやりたかったこと?
――もともと弁護士を目指したのは、中学生のときにいじめにあったからなんです。
子どもと家庭を助けたいと法学部に入り、法科大学院に進み弁護士を目指しました。途中で、それなら児童福祉士だった、間違えたと気付いたんですが(笑)もう戻れないし、こんな私でも誰かの力になりたいと思って目指した道だったので、法律の分野でできることを考えました。
弁護士になって、法テラスの案内で「関係機関と連携して、法的問題だけでなく、その人のために何ができるか皆で一緒に考える」というのを見ました。それは高齢者の話でしたが、子どもにもできるんじゃないかと思って法テラスに入りました。
先輩から、スタ弁の仕事は「個人法務だ」とお聞きしたのが印象に残っています。
個人の、その人個別の人間関係や生活環境からくる生きづらさとか、法的でない部分にもぶつかっていく。その分しんどくなるときはあるんですけど、私がやりたかったことだから、また頑張ろうと思えるんです。