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子どもがおしえてくれたこと

更新日:2019年9月4日

あさひの風法律事務所 中島 香織 弁護士(スタッフ弁護士OG)

元スタッフ弁護士の中島香織です。
私は、平成20年から10年間、法テラス高知法律事務所にて執務していました。
この記事を見てくださっている方の中には、「子どものために活動する弁護士になりたい」とか「子どもの役に立ちたい」とか思っておられる方がいるかもしれません。
スタッフ弁護士(以下、「スタ弁」といいます。)は、採算のことをあまり気にすることなく、子どものために真摯に動くことのできる仕事だと私は実感したので、そのことを書いてみます。
 
 
この10年間、子どもたちからたくさんのことを教えてもらってきました。
留置場で、鑑別所で、学校で、ファミレスで。

いろんな場所で、いろんな世界を生き抜く子どもたちと話していると「よく今日まで生きてきてくれたね。」という言葉が自然と出てきます。


スタ弁として高知県に来たばかりのときは、子どもと弁護士の隔たりに愕然としていました。
せっかくスタ弁になったのに、子どもに出会えない。
子どもを支援している大人につないでもらうことも難しい。
大人につないでもらっても、自分の知識不足、経験不足で、役に立てない。
子どもを取り巻く家族の問題は、「法律」というツールで解決することが難しく、またもや役に立てない。


こんなことなら弁護士をやめて、子どもの役に立てる仕事を探すか…と悩んでいたときに、高知県で「日本子ども虐待防止学会高知りょうま大会」を開催することを耳にしました。
この大会開催の役に立てば、子どもの支援者がスキルアップできて、それが子どもの役に立つことにつながると思い大会開催に奔走しました。
 
弁護士会でも、「子どもの権利110番」という子どもの相談に対応する事業が始まりました。
また、児童福祉法に基づいてすべての地域に設置されている「要保護児童対策地域協議会」という子どもを見守るネットワークに弁護士が参加するべく働きかけも始まりました。

少年事件で子どもに出会うと、もっと早い時期に、学校でも家庭でもなく、彼らがほっとできて安心安全に過ごせる場所や、あたたかく接してくれる安定した大人がいたらと願うことが多々あります。
子どもが他者や自分を傷つけたり、大人からみたら非難したくなるような言動をとるのには必ず理由があります。
その理由を、彼らを叱ったり、罰したりするためではなくて、理解するために尋ねてくれて最後まで否定しないで聞いてくれる大人がいればと願うことが多々あります。
そのような願いから、弁護士を中心に「こども支援ネットみんなのひろっぱ」を立ち上げ、子どもの居場所づくりを始めました。

  
また、子育てや虐待に関わる支援者が職域や立場を越えてつながることのできる仕組みとして、定期的な勉強会を行う「子育て支援ネットワークほっとぽーと高知」も立ち上がり、隔月の勉強会と講演会(年に1回は児童虐待死亡検証事例報告書を用いた勉強会を行います。)を行っています。

10年の積み重ねのなかで、徐々に、子ども自身から、子どもの支援者からの法律相談が増えてきました。
この子どもたちの5年先、10年先を見通した支援を、同じ地域で続けたい思いが芽生え、県内で開業することとしました。

 

みんなのひろっぱ

開業後も、スタ弁の間につながった大人や子どもからつないでもらって日々、子どもの法律相談に対応しています。

私が今、伝えたいことは、子どもの分野で動く弁護士が足りません。
子どもも、家族も、その支援者も、適切なタイミングで適切な法的アドバイスを受けられればどんなに助けられるでしょう。

家事事件手続法の改正により、家庭裁判所での一部の手続きに子どもが参加することや「子どもの手続代理人」として弁護士を代理人につける仕組みができています。

法テラスでは、DV等被害者法律相談援助制度として、虐待を受けている子ども自身からの法律相談にも対応しています。
また、児童福祉法の改正で、全国の児童相談所で弁護士にタイムリーに相談できる体制整備が図られます。

「子どもの役に立ちたい」と思われる方。
あなたの活躍の場が各地に広がっています。
 
 
写真は「こども支援ネットみんなのひろっぱ」での活動の様子を撮影したものです。
  

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