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司法アクセス障害とたたかう

更新日:2020年3月30日

法テラス八雲法律事務所 鳴本 翼 弁護士(68期)

yakumo


令和元年11月、「終活について考えませんか?」という題名の法教育イベントが函館市内のホテルで開催され、私はその中で行われた法律講座の講師として参加してきました。

これまでにも様々な講演を行ってきましたが、今回はいつもと少しだけ会場の雰囲気が違っていました。
イベント参加者が会場に次々と集まってきますが、人の話し声はほとんど聞こえず、会場はとても静かです。

このイベントは、聴覚障がいをもっている方を対象とした法教育イベントなのです。


本来、司法サービスはすべての人に平等に開かれていなければいけません。
しかし、社会には、様々な理由(地理的、心理的、経済的…)で司法サービスを利用しにくい環境にある人が本当にたくさんいます。

スタッフ弁護士としての私の役割のひとつは、このような司法へのアクセス障害を改善することにあると考えています。
たとえば、出張相談や巡回相談を積極的に実施したり、新規の相談場所を設置するなどすることは、物理的な司法アクセス障害の解消につながります。
司法サービスや弁護士をより身近に感じていただくために、さまざまな場所でさまざまな方を対象として、講演や勉強会も行っています。
これは、いわば心理的な司法へのアクセス障害の改善になるのではないでしょうか。

 
さて、冒頭の法教育イベントでは、予定終了時間を超えてたくさんの質問が投げかけられ、イベント終了後も多くの参加者から色々な質問を受けました。

「悩んでいることはたくさんある。でも、どうやって聞いたらいいか分からなかったのです。」

「私たちは法律相談に行くすべを知らなかった。だから今回、チャンスと思ってきました。」

今回のイベントによって、聴覚障がい者の方の抱える司法アクセス障害がほんの少しだけ改善されたかな、と嬉しく感じました。

 
でも、イベントの終盤では、次のような質問もありました。
「法テラスでは、聴覚障がい者のように電話が苦手な人のために、メールでも相談を受け付けてくれることは分かりました。
でも、私たちの多くは、文章を作ることも苦手です。メールも難しければ、どうしたらいいですか?」

 
まだまだアクセス障害の問題は深刻なようです。
さて、スタッフ弁護士として、次はどんなことに取り組めるでしょうか。

会議の様子


以下フッタです
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