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刑事事件にからむ司法と福祉の連携―離れた2つをつなぐひと 4

更新日:2018年6月28日

あるべき支援の形を目指して

 千葉での司法と福祉の連携。岸センター長にこれまでの連携についての感想をお聞きしたところ、次のようにお話してくださいました。
「勉強会を通じて、これまで法テラスの弁護士には何度か一緒に案件を手掛けていただきました。先日も、出所したばかりで施設から抜け出して警察に捕まってしまった60代男性について、福祉関係者の我々が警察に電話したところ、『すぐに帰せない』『会わせられない』とのことで困り、遠藤弁護士に相談して警察と掛け合っていただいたところ、すぐに釈放になりました。その男性は後に、遠藤先生へ御礼の手紙を書いています(下記参照)。男性が一生懸命書いたものです。
 罪をくり返す障害者は、出所してきて地域に出た途端、トラブルに巻き込まれ、前科があり、状況説明がうまくできないために再び刑務所へ送られてしまう可能性があります。私たちでは限界がある分野についても、こうして法テラスの弁護士にすぐ連絡できる関係があり、力になっていただけることは、私たち福祉関係者だけではなく、支援対象者にとっても本当に心強いです。
 加えて、これから刑務所へ入ってしまうかもしれない障害者や高齢者の支援も、法テラスの弁護士を中心に弁護士と協働しながら行い、良い成果がでています。」

 遠藤弁護士に、今後の活動について聞きました。
「社会と刑務所を行き来している障害をもった人たちを支援するためには、刑務所に入る“入口”と、刑務所から出所する“出口”の段階でそれぞれ支援を行うのではなく、入口から出口までをつないで支援する組織や人が必要だと考えています。例えば、入口段階で接見した国選弁護人は、多くの情報を持っていますが、その情報が出口のところまで引き継がれるシステムにはなっていません。また、元々福祉につながっていた人であれば、成育歴や障害の程度等多くの情報を福祉関係者が持っていたり、もしくは福祉サービスにつながっている場合も少なくありません。
 司法と福祉が対象者を支援する目的や到達点には構造的なズレがあり、福祉関係者にとっても司法は敷居が高くとっつきにくいものかもしれません。しかし、実際の案件では、福祉関係者がいてくれたからこそ、弁護士の仕事がやりやすくなったり、総合的な支援が実現できる部分は多くあります。お互いの能力を活かし、一貫して支援者をサポートできるような司法と福祉の連携モデルを、ここ千葉で作れればと考えています。」
 法テラス広報室では、今後も、遠藤弁護士のように、「司法と福祉の連携」に取り組むスタッフ弁護士の活動をお伝えする予定です。


60代男性から遠藤弁護士へ送られた手紙

以下フッタです
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