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子どもとともに生きる弁護士の原点 3

更新日:2018年6月28日

社会福祉法人カリヨン子どもセンター理事長 坪井節子弁護士

子どもの居場所をつくる

2000年9月、この夢を「もがれた翼」という企画に乗せて、「こちらカリヨン子どもセンター」という芝居を作りました。「もがれた翼」とは、1994年から毎年公演している、弁護士と子どもたちが一緒に作るお芝居です。「こちらカリヨン子どもセンター」の舞台は、子どものためのシェルターを併設した子ども専門の公設法律事務所。この世に存在しない夢のシェルターでした。

夢は、芝居の中の夢で終わるはずでした。しかし、幕が下りた後、想像もしていなかったことが起こりました。一緒に演じた弁護士や観客から、「自分たちでカリヨン子どもセンターを作ろう!」という声が上がったのです。同じ想いを持っている人が集まり、2004年にシェルター「カリヨン子どもの家」を開設し、夢が現実になりました。

カリヨン設立から9年間で、約240名の子どもが巣立っていきましたが、4分の3くらいは女の子です。男の子は非行に走ってでも生きていけるのでしょう。でも、女の子は家を出たらすぐ性被害にあってしまう。だから、家から出られずに虐待に耐えるしかない。長い間救い出されず、虐待に耐えている子どもがこんなにいるということに驚きました。一方で、子どもはどんなに虐待されていても、親を求めます。親子の深い絆。そこには、人の力で解決することのできない、祈るしかない世界があるように感じます。

子どもに寄り添う

私が子どもの事件を担当するときに大事にしていることは、子ども自身が自分の言葉で「何が起きたのか」、「今どういう状況なのか」、「何を考えているのか」、「これからどうしたいのか」を語ることです。語ることで、初めて自分を知り、課題に気づき、どう立ち上がっていくかという自分の人生を決めていく。それが少年審判だと思っています。

この意味で、少年ひとりひとりに弁護士が付添人として付く国選付添人制度には意義があると思います。しかし、少年審判に検察官が関与することや厳罰化の流れには反対です。誰ひとりとして、生まれながらに犯罪者になろうと思って生まれてきた子どもはいません。幼いときから虐待され、一人の人間として愛されてこなかった。子どもたちが、自分の命は大事じゃないと思わされ続けてきた挙句の果てが非行です。非行は子どもたちからのSOSです。だから、子どもの非行は厳罰化では防げないと思います。

今の法テラスの民事法律扶助は、本当に助けなくてはいけない子どもを助けることができる制度にはなっていません。子どもの費用を出せない親を援助する制度になっているので、親子の利害が対立する場合には利用できないからです。親の資力とは関係なく、子どもは子どもとして援助する。これが法律扶助の原点ですので、これからの法テラスの役割に期待しています。

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