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地域包括支援センター「ナーシングヴィラ与野」と法テラス埼玉 2

更新日:2018年6月28日

必要なサービスへ「つなぐ」

当事者の問題に対して、解決の方法が分かっても専門家にたどり着けない。
地域包括支援センターが抱える悩みのひとつは、必要なサービスにどうつなぐかです。
厚生労働省が認知症に関して策定した認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)(※2)にもとづいて、認知症患者やその家族への支援のため認知症地域支援推進員の研修を受ける黒川さん。地域の方の居場所づくりとして誰でも参加できる「オレンジカフェ」を月に1回開いています。

「医療の分野では、地域と医療、介護の連携が進んでいます。法律の分野でも、連携体制ができて、円滑に相談先を案内できたらいいなと思います。
たとえば、認知症の高齢者で成年後見人をつけるケースです。法律の専門家にお願いすることになるという、『解決の手段』が分かっても、心理的・経済的ハードルから弁護士・司法書士になかなかたどり着けないのが現状です。」

法テラスの存在は知っていても、どんな時に使えるか、費用はいくらかかるのかなど、利用者に負担をかけることが心配で、案内するのに迷いがあったそうです。
法テラスの利用方法を理解し、密接な連携体制を築き、必要な支援につなげることが容易になったのは、法テラスからのアプローチがきっかけでした。

「法テラス埼玉のスタッフ弁護士が『法律問題か分からなくても、お話聞きますから。』と話してくれました。こんな先生がいるんだなあと、驚いたのと同時に、ありがたかったです。」社会福祉士で介護支援専門員の高瀬芳子さんはこう話します。

現在では、早く専門家につなぐため、法律相談を希望するときは、「センター相談(法テラス地方事務所で行う弁護士・司法書士による無料法律相談)」ではなく、「事務所相談(最寄りの弁護士・司法書士の事務所で行う無料法律相談)」を受けることが増えたと言います。


併設するデイサービスの通路
利用者の作品が展示してある


デイサービスホールの様子


※2認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)

これまでの病院・施設を中心とした認知症ケア施策を、住み慣れた地域で暮らし続けられる在宅中心の認知症施策へシフトすることを目指し、地域で医療や介護、見守りなどの日常生活支援サービスを包括的に提供する体制づくりを目指す厚生労働省の政策。

法テラス埼玉の関係機関との連携構築に向けた試み

連携の特徴

 埼玉の連携の特徴は、(1)地方協議会を軸とした関係機関へのアプローチ(2)スタッフ弁護士と地方事務所職員(窓口対応専門職員含む)が協働し、関係機関に働きかける(3)法テラスからの訪問だけでなく、関係機関職員を招く――という以上の3点。

連携に力を入れ始めたきっかけ

 連携の取り組みは、平成23年の秋頃、事務局長や職員から、「開所時からスタッフ弁護士が中心になり行っていたが、弁護士対関係機関担当者という属人的な連携だけでは、限界があり、組織対組織の関係で行う必要があるのではないか。」といった問題意識を持ったことが端緒となり、所長を中心に事務局長、スタッフ弁護士、職員で構成する10名程度のプロジェクトチーム(PT)を結成したことに始まったという。
PTの会議では、「連携時に生じた問題点」や「今後の連携の在り方」などについて議論している。

連携先

 「地域で法的な支援を必要としている方々に、情報提供や法律相談、代理援助等に繋げる」ことを目的に、連携先は、「法的な支援を必要としていると思われる方々を直接支援する機関」としており、具体的には民生委員、地域包括支援センター、障がい者支援機関など。
平成26年度は地域包括支援センターのほか、接触できていない地域の民生委員、潜在的に問題を抱えていると思われる障がい者支援機関、民事事件に関する問い合わせがある警察署を対象に加える予定

支援機関へのアプローチ

 支援機関にアプローチする方法は、法テラス埼玉が催す、関係機関との地方協議会の案内文に、法テラスと連携希望の有無、どのようなやり方の連携が考えられるかなどを尋ねるアンケートを同封し、「興味を持っている」と回答のあった機関にアクセスを試みる。アポイントが取れた機関には、スタッフ弁護士と職員が訪問し、業務説明や連携の可能性について協議する。
平成25年度地方協議会では、支援機関職員の目線に立った構成で、「法的支援が必要な方を支援している機関の職員が、どのように法テラスや法律相談に繋げられるか」という筋書きで、スタッフ弁護士と窓口対応専門職員が演者となって寸劇を行い、「身近な法テラス」「気軽な法律相談」をアピールする工夫をしている。


平成25年度法テラス埼玉地方協議会


これまで

平成24年度は、自治体の協力のもと、延べ914名の民生委員に業務説明会の実施を行ったほか、初めて地方協議会の案内文を送った一部の地域包括支援センターでは、法テラスの訪問が契機となり、「施設職員による、地域包括支援センターの概要等の講義や施設見学」「法律相談会の会場提供」「広報活動の協力」「高齢者宅へ出張法律相談」「施設を指定相談場所とした法律相談会」などを通じて連携が図れている。最近では、法テラス埼玉の施設見学も兼ね、PTの会議に地域包括支援センター職員を招いて、意見交換するなど、従来にはなかった活動も行っている。参加した包括支援センター職員からは「このような形で法テラスと連携が図れるとは思ってもいなかった。我々にとって、たいへん力強い存在です。」とのお話もいただけた。

これから

今後は、単一機関との連携だけでなく、複合的な問題解決に向け、複数の機関と問題解決にあたれるような『連携ネットワーク』の構築を目標としており、平成25年度地方協議会をきっかけに継続参加するようになった「障がい者支援のネットワーク会議」を通じて、更なる連携の可能性を探しているという。

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