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高齢者に寄り添う司法書士の原点 ~リーガルサポートの現場から~ 3

更新日:2018年6月28日

日本司法書士会連合会 法テラスとの連携推進委員会 佐野幸雄司法書士

佐野司法書士が語る 高齢化が進む社会で司法書士が果たす役割

 日本はすでに超高齢社会ですが、高齢化率はなお年々高まっています。高齢化が進む社会では、各世代の負担を調整することが極めて重要です。年金などの社会保障制度が、果たして現行制度の延長線上であってよいのか、疑問です。制度を根本的に変えなければならない日が必ず来るのではないでしょうか。そのとき不利益を被ることになる人たちが、受け入れることができるかどうかがポイントになると思います。


出所:内閣府「平成25年度版高齢社会白書」をもとに広報室作成

 また、日本人の権利意識が随分と変わってきていることも実感しています。昔の「古きよき時代」と違い、これからは遺言や成年後見制度などの法制度がもっと利用されるようになるでしょうし、利用されなければならないと考えています。
 このような社会背景の中で、司法書士をはじめ法律実務家が果たすべき役割は大きいです。たとえば、遺言は本人が自筆で書くのが原則ですが、司法書士が書き方のアドバイスや文案を一緒に考えることもあります。
 司法書士の特徴として、登記手続の場面で当事者双方の代理人となることが多いため、当事者の利害を調整することに慣れています。成年後見では、本人や周りの方にソフトな印象を与えて、円滑に事務を進めることができると思います。


Photo:佐野司法書士(左)と同じ事務所の福田司法書士(右)

 私が経験したある事例なのですが、本人の住まいがゴミ屋敷となっていて、悪臭や衛生面で近所から苦情が寄せられていました。成年後見の申立ては、実質的に市が行ったのですが、職業後見人の選任を要望していながら、市の担当者が「無償で働いてくれる司法書士を選任して欲しい」と明言していました。司法書士の立場からすると、大変厳しいものがあります。
 費用が心配で後見人を付けづらい場合、法テラスの民事法律扶助制度は重要な意味を持っています。たとえば、成年後見を申し立てるときの費用は申立人の負担となっているため、親族から申立てに協力してもらえないことがあります。そのとき、法テラスの利用を勧めることで、何とか協力を得られることもあります。申立てに必要な鑑定費用が援助対象となっているのも、とてもありがたいことです。
 成年後見の申立て以外の家事事件でも、司法書士が裁判所などに提出する書類を作成する際、法テラスの制度を利用することができます。これからも、お困りごとがあるときに、ぜひ司法書士を活用してください。

佐野幸雄(さのゆきお)司法書士

1993年11月司法書士試験合格。1994年1月司法書士登録。
趣味は、特撮ヒーロー(特に昭和40年~50年代)の研究。
好物は日本酒。愛犬の柴犬と戯れる日々を送っています。

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