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高齢者・障がい者問題を生きる~前編~ 3

更新日:2018年6月28日

高齢者の後見申し立てにおける課題

成年後見ネットワーク鳥取の事務局を私の法律事務所でずっとやっていました。裁判所から後見人が見つからない案件の相談が来ると、ネットワークの会員に成年後見人の受け手を振り分けていましたが、どうしても受け手がいない案件が残ってしまい、それを私が引き受けていました。事務所の中にも社会福祉に興味を持つ職員がおり、社会福祉士の資格をとったので、ある程度の数の成年後見人等にも対応できました。ただ、そういった案件がどんどん増え、10件を超えたあたりから、このままではまずいとは思っていました。

―他に受け手は見つからないのでしょうか。

「若い弁護士に勉強でどんどん受任させれば」という声もありましたが、受任すれば基本的には亡くなるまでのおつきあいですし、受任すればそれなりの負担もあります。経営基盤のない経験の浅い弁護士や勤務弁護士にこういった案件をお願いするのはなかなか難しいと思います。ただ、放置するわけにはいかないし、ボランティアに頼るのではなく、何かきちっとした制度をつくらなければならないとは思っていました。
そうこうするうちに平成22、3年頃になると私の受任事件が20件を超えてしまいました。

―そのままだと行き詰まってしまいますね。

そうですね。
虐待事案、複合事案、財産のない人の事案などの困難な事案を確実に受任する機関の必要性を強く感じるようになりました。
当時、鳥取県社会福祉士会も同じ問題意識を持っていました。ネットワークの会議でも困難案件の受け手がいないということがよく議題に上がっていました。社会福祉士さんは99パーセントの人が組織に所属していて、平日は業務があるので、休日に活動することになります。成年後見人として受任できるとしてもせいぜい1件か2件です。受けたくても受けられない、そんなジレンマが社会福祉士さん達にはありました。
社会福祉士さんというのは高齢者障がい者の「権利擁護」というのが仕事です。まさに弁護士と同じものを目指していますので、このような問題意識から平成22年に鳥取県社会福祉士会が「法人後見をする機関が必要である」との報告書をまとめて、鳥取県に提出しました。鳥取県が鳥取県社会福祉士会に委託したのに対する報告書という形でしたが、事態は少しずつ変わっていきました。

―弁護士会でも何か活動はあったのでしょうか。

平成21年12月から鳥取県弁護士会は「高齢者支援センターとっとり」を立ち上げ、日弁連高齢社会対策本部のモデル事業として無料電話相談を始めました。
平成23年11月に中国地方弁護士連合会大会が開催された際に開催されたシンポジウムで、「困難案件を確実に受任する機関がないこと」、「成年後見人を監督(チェック)する機関はあっても支援(サポート)する機関がないこと」や「市民後見を育成支援する機関がないこと」が確認されました。
これらの動きを受けて、前に述べた鳥取県の3つの成年後見ネットワークは、困難案件を受任する受け皿となる法人を設立しました。そして共同で県・市町村に働きかけ、困難案件においては「成年後見が社会保障の一部である」ことを理解していただき、補助金の支出をいただけることになりました。

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