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高齢者・障がい者問題を生きる~前編~ 4

更新日:2018年6月28日

機関による受任で、受任者の問題は改善しつつあるようですが・・・ 受け手がいないのは、報酬を出せる成年被後見人がいないのが理由でしょうか?

財産のない人の案件ではそうですね。
この問題意識は成年後見制度の開始時に国も問題意識を持っていました。
その手当として国と県と市町村でお金がない人の成年後見人になった人に報酬を出す成年後見制度利用支援事業という制度を作りました。しかし、予算の関係から首長申立てに限られる市町村が多く、十分な実効性を持っていません。
成年後見は民法に規定されている制度ですので、申立ても自由、後見人になるかどうかも自由という前提でつくられています。
しかし、ただそれだけでは、うまくいかない案件があり、むしろそういう案件が多数でかつ成年後見制度を利用する必要性が高いという認識ができてきました。社会保障の視点が必要になります。

―成年後見はご本人の判断力が回復するかお亡くなりになるまで、関係が続く非常に責任が重いお仕事に感じられます。寺垣所長が後見をしてよかったと思えるようなときはどんなときでしょうか。

ちょうどいい支援ができたときでしょうね。やりすきたら過干渉。足りなかったらネグレクトになります。ちょうどよくやったときには本人が喜んでくれます。そんなときはうれしいですね。
これをお話しすると時間が足りなくなってしまいますね。

―弁護士は法律の専門家であって福祉の専門家ではないので財産管理、契約などの代理以外は弁護士の仕事ではないという意見もありますが、どのようにお考えでしょうか。

それは成年後見人の仕事を理解していない意見のように思えますね。成年後見人は、身上監護のために財産管理をします。財産管理しか自分の仕事でないと思っている成年後見人は、被後見人を虐待している可能性があるので、要注意です。
一人の人間がいて、その人をとりまくいろんな人がいて、いろんな関わりを持って社会はできています。この関わりをコーディネートするのが成年後見人の一つの役割です。私が、緊急入院に必要な道具を買い揃えて、入院の準備をしたことがあります。その人はたまたま親族がいなかった、他に依頼できる方がいなかったから私も社会の一員だから私がやっただけ。私が受任した事件、全てでこのような対応をしているわけではありません。施設の人がやってくれたり、ケアマネージャーの人がやったりしてくれることもあります。社会でその人の面倒を見ないといけないと思います。

― 一般的な家庭では、入院に必要なものを準備するというのは、通常は親族の方が行うことが多いですよね。

そういう親族がおられればそれでいいですよね。でもそういう親族がおられない方もいるわけです。だからといって、私は被後見人の親族になろうと思ったことはないですし、なることもできません。関わっていく必要はありますが、抱え込みすぎてはいけません。介護の現場では、家族、親族が過剰な負担をしてしまい、自殺とか殺人という事件もあります。だからもう関わりたくない家族もいます。家族介護の限界です。成年後見制度と同時に始まった介護保険制度もそこがはじまりです。家族が抱えられない負担を後見人が抱え込んでしまうと、後見人が死んでしまいます。仕事を分担して、みんながちょっとずつ関わるようになることが必要だと思います。

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