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司法ソーシャルワーク~埋もれたニーズを連携によって掘り起こす~後編 2

更新日:2018年6月28日

司法SWのこれから

ちょっと変かも?の段階で聞いて欲しい

高齢者や障がい者等の抱える問題は、どんなに福祉機関と連携を進めても全てを把握することは出来ません。地域包括支援センター等から「担当している方が経済的な搾取を受けているかもしれない。」と連絡が入っても、その段階では既に「手遅れ」になっているケースが多い、と村山弁護士は言います。解決には、少しでも早いタイミングで弁護士に繋げる必要があります。
そのためには、自治体や地域包括支援センター等で支援に携わっている方々の輪の中に弁護士も入れていただき、ケース会議などへの参加を通じて見守りチームの一員となることが必要です。当事者に一番近い支援者の方が「あれ、ちょっと変かも?何かおかしいような気がする…」という段階で弁護士に繋がっていれば、深刻なトラブルを未然に防げることもあります。


需要と供給のバランス

次に、担い手の問題があります。司法SWに携わっている弁護士はそう多くありません。その理由のひとつが報酬です。法律相談や法的手続きに進む段階になれば民事法律扶助制度の利用ができますが、ケース会議への参加や担当者との打合せなどには報酬は発生しません。つまり、労力がかかる一方で報酬はあまり期待できないのです。したがって、この活動に携わるのはスタッフ弁護士や弁護士会の高齢者・障がい者に関する委員会等で活動されている弁護士など一部の弁護士や司法書士だけでした。

しかし、高まりつつある司法SWの需要に応えるには、一般の弁護士・司法書士の協力が不可欠です。司法サービスの需要と供給のバランスを上手くとることが出来なければ司法SWは成功しません。現状について村山弁護士は次のように話します。「一般の弁護士・司法書士の先生方からの協力を得るためには、司法SWについて正確に伝え、理解していただかなければならない。弁護士会の委員会の先生方など、自分たちが始める前からこういった分野で熱心に活動されてきた先生もいる。その方々が作ってきたものを大切にし、協力して司法SWを推進していきたい。」
司法SWの取組みは、まだまだ発展途上で、課題も山積みです。しかし、社会には問題を抱えていても、行政や法律のサービスや支援にたどり着けない方が沢山います。地域の埋もれたニーズをアウトリーチによって掘り起こしていくことを目指して、一歩ずつ着実に進めていくしかありません。法テラスでは、スタッフ弁護士だけでなく、職員も力を合わせて、高齢者・障がい者をはじめとする自分で法律による助けを求めることが難しい方々への支援に力を入れていきます!


※本記事に登場する各事例はプライバシーを守るため一部修正を加えています。

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