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司法ソーシャルワーク~埋もれたニーズを連携によって掘り起こす~前編 3

更新日:2018年6月28日

福祉と司法の連携 @新宿区・戸塚高齢者総合相談センター

この日、村山弁護士は新宿区にある戸塚高齢者総合相談センターにいました。法テラス東京法律事務所では、福祉担当者の方々の様々な疑問に答えるために、新宿区内の高齢者総合相談センター(地域包括支援センター)を定期的に出張しています。センターのイメージキャラクターは新宿区の区域の形をデフォルメしたサイ(右図)です。村山弁護士が担当する出張先は全部で4か所。月の第1週は戸塚地区、第2週は区役所、第3週は若松町地区、第4週は大久保地区の各高齢者総合相談センターで、それぞれ1回4時間ほど滞在することになっています。新宿区にはこのほか6か所の高齢者総合相談センターがあり、いずれも他のスタッフ弁護士が同じように出張しています。
この活動が始まったのは、平成25年の9月のこと。3か月の試行期間を経て、平成26年1月には、新宿区と協定を結び、本格的に連携を進めています。


共に働くことで弁護士が身近な存在に

この連携が始まった当初は、今と比べるとまだまだ弁護士に対する敷居が高く、「こんなこと弁護士に聞いてもいいのかな?」と遠慮されるのか、相談に来る職員の方はあまりいませんでした。

しかし、ケース会議に参加したり、一緒に利用者のお宅を訪問したり…という活動を通じて徐々に弁護士に対する意識が変わりました。今では、「まだ大きい問題ではないけど、もしかしたら…」「法律問題ではないかもしれないけど…」といった段階でも相談に来ていただけるようになってきました。センターの方との打合せ、ケース会議への参加、訪問同行、利用者との面接など全て含め、村山弁護士の担当する地域だけでひと月に30回ほどの活動を行っています。


解決までのスピードUP

センターには、債務や後見、家族の問題に近隣トラブル、医療や介護のことなど様々な相談が寄せられます。そして、それらは1つの問題ではなくいくつもの問題が複雑に絡み合っていることが多いです。センターの職員の方は、債務や後見などについては専門外。連携が始まる前は、「どこに問題があるのか?そもそも何が問題なのか?」「どうすれば解決するのか?」などを担当職員が調べるしかありませんでした。そのため、解決までの道のりは非常に遠く、また問題全体を把握することは非常に困難でした。しかし、弁護士が介入することで、まずは複雑に絡み合う問題を整理することができるようになり、またセンターと弁護士が協同することで、その方の環境や問題の背景等を含めた問題全体の検討が可能になりました。そして、こういった整理や検討を経て、随時適切な法的手続をとることも可能となりました。センターの方は、「問題解決までのスピードが全然違う」「こんがらがった問題を整理してまとめてくれるので、助かる」と言います。

得意分野を活かした役割分担

もちろん弁護士が介入するだけでは、問題は解決しません。というのも、債務や後見申立に関する問題は弁護士の得意分野ですが、介護保険や介護予防等福祉サービスに関しては専門外。センターの方々の得意分野です。
村山弁護士は、「今までは、センターの方々は自分たちの専門外のことにも追われていたけど、債務や相続等の専門外の分野は弁護士にすぐに聞くことが出来、本来の業務に専念できるようになったと思う。お互いに役割分担ができているってことかな?」と話します。

平成26年度に法テラス東京地方事務所が連携を深めるために関係機関の方々を集めた協議会でこの活動について報告したところ、他区からも弁護士の派遣を希望する声がありました。高齢者や障がい者を支援する人たちの支援の輪が少しずつ広がっています。

後編はこちらから

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