賃貸住宅に住んでいるのですが、震災で、住宅の壁にヒビが入り、一部が使用できなくなりました。賃料の減額を請求することはできないでしょうか。
更新日:2018年6月28日
損傷の程度によっては、減額の請求をすることができます。
- 建物の損傷が、建物の一部滅失といえるほど大きなものであれば、賃料減額請求が認められます。その場合は、滅失した部分の割合に応じて、減額されることになります。ただし、賃貸人と協議することもなく、一方的に減額の額を決めて支払った場合には、契約解除等の紛争が発生することがありますので、注意が必要です。
- 建物の「滅失」とは、建物の損壊の程度がひどく、建物としての「効用を失った状態」をいいます。
- 賃貸人と減額について合意することができず、裁判所での手続を利用する場合には、まず民事調停を起こす必要があります。特定の地域では、震災を原因として起きたトラブルについての民事調停は、その申立費用が免除されます。民事調停における話合いで合意することができずに不成立となった場合には、訴訟を起こすことができます。
- 裁判所での手続以外の紛争解決の手段としては、弁護士会の仲裁手続(紛争当事者の合意に基づき、弁護士が仲裁人となって、双方の主張を聞いたうえで、解決のための判断を示し、当事者がこの判断に拘束される手続)等、裁判外の紛争解決手続(ADR)を利用する選択肢もあります。たとえば平成23年9月末現在、仙台弁護士会では、震災に関連する紛争について、通常の仲裁手続よりも手数料を低額に設定した「震災ADR」を実施しています。
- 建物の一部が滅失し、残りの部分だけでは、居住することができない場合(賃貸借契約の目的を達することができない場合)には、賃貸借契約を解除することができます。