アパートを貸していたのですが、津波で流されてしまい、賃貸借契約が終了しました。敷金については全額返さなければならないのでしょうか。賃貸借契約に「敷金は賃料の3か月分、そのうち1か月分は返還しない」という特約がある場合はどうでしょうか。
更新日:2018年6月28日
全額を返す必要があります。
敷引特約がある場合も、原則として全額を返す必要があります。
- 建物が津波で流されたり、全壊したりした場合には、賃借人の使用によって生じた損耗の補修費用は発生しませんので、敷金は全額返還する必要があります。
- 災害により借家が滅失したときは、最高裁の判例によれば、敷金から控除される金額が礼金であるという趣旨が明確に合意されているような場合は別として、一般的には、災害等で契約が予期しない事由により終了した場合にまで敷金の一部を返還しないとの合意が成立していたとはいえず、敷引金は賃借人に返還されるべきと判断しています。
- 敷引特約自体は一般に有効な特約とされていますが、事業者と消費者の間で締結された賃貸借契約(この場合は「消費者契約」にあたります)については、一般と比べて敷引金が高額過ぎる場合には、敷引特約が消費者契約法10条1項により無効と判断される可能性があります。