築50年以上が経過している一戸建てを賃貸しています。震災を機に、今後の安全のために建物を建て替えたいと思うようになり、建替費用にあてるため、その家の庭の部分を売却したいと考えています。賃借人に相談したところ、「賃料が上がるのは困るので、耐震リフォームだけにしてほしい。このままの状態で住み続けたい。」と言われました。賃借人が反対したまま、庭だけを売却することは可能でしょうか。また、賃借人が反対している場合に建て替えはできないのでしょうか。
更新日:2018年6月28日
理論的には、庭の部分だけ売却することも可能ですが、現実的には極めて難しいでしょう。
建て替えに賃借人が反対している場合には、賃貸借契約を解約して(または更新を拒絶して)終了させるための正当事由のあることが必要です。
- 戸建て住宅の賃貸借契約においては、特段の事情や特約がない限り利用できる敷地の範囲に庭の部分も含まれているものと考えられます。
- 理論的には賃貸借契約の目的となっている土地(庭の部分)を売却することはできますが、売却されても賃貸借契約は継続し、購入者は土地を利用することができないため、実際には、売却することは極めて困難です。
- 建物を建て替える場合には、現在の建物についての賃貸借契約を終了させる必要があります。賃借人との合意により賃貸借契約を終了させられない場合は、賃貸借契約を解約するか、または更新を拒絶して終了させる必要があります。建物賃貸借契約の解約又は更新の拒絶をする場合には正当事由が必要となります。建物の建て替えの必要性(危険性の程度)、賃借人への立退料支払の申出、新建物についての賃貸借(予約)契約の提示等が正当事由の有無の判断要素となるものと思われます。