地震で自宅の屋根瓦が落ちて、隣家の車を傷つけてしまいました。私に責任がありますか。
更新日:2018年6月28日
基本的には、屋根瓦が落ちたことによって生じた損害(車の修理費など)を賠償する責任を負います。
ただし、屋根瓦が本来備えるべき安全性があったことを立証できれば、責任を免れる場合もあります。
- 屋根瓦は建物の一部として、工作物責任(民法717条)という民法上の特別の責任の対象となります。
- 工作物責任とは、土地の工作物(塀、屋根瓦、看板など土地上に人工的に設置された物)が壊れて他人や物を傷つけた場合、その工作物の「設置または保存」に瑕疵(欠陥)があれば、持ち主(所有者)やそれを管理していた人(占有者)に損害賠償責任が発生するという、法律上の特別な責任です。これには、地震が起きた場合に責任が免除されるという規定はありません。
- 強風・豪雨、地震などが発生したときに、工作物の瑕疵(本来備えるべき安全性を欠いていること)によって損害が発生または拡大した場合には、所有者や占有者は、その瑕疵が損害発生または拡大に影響を及ぼした程度に応じて責任を負うこととなります。
- ただし、当該屋根瓦が本来備えるべき安全性を有していたことが立証できた場合には、工作物に瑕疵が認められず、占有者ないし所有者は、その責任を免れます。瑕疵の有無の判断は、所有者の故意・過失に関わらず、客観的に判断されます。
- 例えば、地震により周囲の建物全部の瓦が落ちている状況であれば免責されるでしょう。しかし、自分の建物だけ瓦が落ちたということになれば、瓦の設置・管理に欠陥があったと考えられるでしょう。
- なお、第1次的に責任を負うのは占有者ですが、占有者が工作物の設置および保存について、損害発生を防止するのに必要な注意を払っていた場合は、その責任を免れます。
- 占有者が責任を免れたときには、所有者が第二次的に責任を負います。所有者の責任は無過失責任といわれていますので、所有者自身に故意・過失がなくても、客観的に工作物に瑕疵があれば、瑕疵を原因として発生した損害について賠償する責任を負います。