抵当権を設定していた建物が津波で流されてしまい、跡形もありません。抵当権の被担保債権となっている借金の支払をする必要もなくなったのでしょうか。
更新日:2018年6月28日
借金の支払義務は残っています。
抵当権を設定していた不動産がなくなっても、地震保険の保険金などその不動産の価値が変形したと同視できるものがある場合は、その保険金請求権が債権の回収に充てられることもあり得ます。
- 抵当権が設定されていた建物がなくなったこと(滅失)により、抵 当権は消滅します。しかし、抵当権が消滅しても抵当権により担保されていた債権は、無担保の債権として依然として存在していますので、支払義務はあります。
- 担保となっている不動産が滅失した場合には、直ちに残債務全額の 支払をしなければならない、追加担保を設定しなければならないと いった約定がなされていることが多いですが、今回の東日本大震災で、国は、被災者の生活に配慮することを金融機関に求めています。 したがって、原則どおりに、直ちに抵当権を設定した金融機関等が被担保債権の全額の弁済請求を行ったり、保険金請求権を差し押さえることはないでしょう。
- ただし、一定の猶予期間を過ぎると金融機関からの請求がありますので、被災された方は、自分の置かれた事情を金融機関に相談して、返済猶予を求めることも一つの方法でしょう。