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島で唯一の法律事務所「法テラス徳之島」で働く職員 1

更新日:2015年7月31日

 平成25年8月1日、鹿児島県の離島、徳之島に「法テラス徳之島」が開所しました。
それまで弁護士が一人もいなかったこの島にできた唯一の法律事務所で働く、法テラス職員の助中昭文さんに、徳之島の魅力と仕事に対する想いをお聞きしました。


海をバックに広がるさとうきび畑


自然豊かな徳之島

 徳之島は、鹿児島市の南南西約500キロ、太平洋と東シナ海の間、奄美群島のほぼ中央に位置します。徳之島町、伊仙町、天城町の3町からなる徳之島は、ギネスブックで世界最高齢と認定された人が2人も出たことから長寿の島とされ、また市町村別の合計特殊出生率の全国トップ3を島の3町で占めたので子宝の島としても有名になり、島内唯一の飛行場に「徳之島子宝空港」という愛称をつけたほどです。


yahoo!japan地図より


 主な産業は農業(特にサトウキビ栽培)であり、海をバックにサトウキビ畑が広がる景色は一見の価値があります。また、闘牛も盛んで、年始やゴールデンウィークなどには闘牛大会が開催されます。大会に向け、早朝、夕方には、闘牛用の牛(とてつもなくでかい!!)が道路を散歩していたり、海でトレーニングしていたり、海水で爪を消毒していたりと徳之島ならではの風景を見ることができます。

 「徳之島って空港はあるの?」「行き方がよくわからない」など、よく聞かれたりします。本土との交通アクセスは充実しているとはいえず、空路は鹿児島空港との間のみで、徳之島空港へは約1時間かかります。フェリーを利用すると鹿児島港から15時間ほどかかります。さらには、天候の影響を受けやすいため、欠航、条件付き運行なども多く、離島での生活は本当に大変だと感じています。

法テラスの役割と課題

 法テラス徳之島は、現在弁護士1名、事務職員2名で執務をしています。平成25年8月1日に事務所が開所して以来、1年間に250件弱の相談を受けております。事務所の窓からは、西に遥かに広がる東シナ海が見え、仕事に疲れたときには、窓の外を眺め、ちょっとばかりの気分転換をはかっています。


事務所から見える風景


 一人でも多くの方に、法テラスを利用していただきたいと考えていますが、残念ながら、相談希望日の都合が合わず、法律相談をお断りすることもあります。都会であれば、ほかを探せば弁護士との相談ができると思いますが、弁護士事務所が1つしかない徳之島ではそうはいきません。どうしてもその日に弁護士と相談をしようと思うと隣島の奄美大島まで出かけていただく必要があります。飛行機だとそれ相応の費用が必要で、費用を抑えようとフェリーにすると2泊3日の長旅となってしまいます。
 こればかりはどうしようもないことですが、お断りするときには、せっかく弁護士が常駐するようになったのに・・・と、胸が痛くなります。

困った人の力になりたい

 私は、9年前の法テラス設立と同時に法テラス大阪に非常勤職員として入社しました。2年程勤務したのち、一般企業へと転職したのですが、元々、「誰かの役に立つ仕事に携わりたい」と考えていたため、「本当に自分のやりたいことはこれなのだろうか。」と悶々とした日々を過ごしていました。そんなとき、法的なトラブルを抱えた友人に、法テラスの民事法律扶助制度を紹介したことがありました。その友人から「ありがとう」と感謝の言葉をもらい、その一言がきっかけで、法テラス大阪での経験が鮮明に蘇ってきました。「もう一度あの現場で働き、困った人の力になりたい。」そう強く思った私は、ちょうど中途採用の募集を行っていたため、試験に応募し、平成23年に今度は常勤職員として採用され、富山地方事務所に配属となりました。

 平成25年春、徳之島に法テラスを設置するにあたって、事務職員を募っていると聞いたとき、最初、「徳之島ってどこ?」と場所すらわからず、徳島県の一地域だと思っていたほどです。色々と調べていると、本土からかなり離れた離島地域であること、またこれまで常駐弁護士が1人もおらず、司法アクセスが非常に乏しいことがわかりました。
 はじめて法律事務所ができるので、一から作り上げるという点で、非常にやりがいがある、また、これまで常駐弁護士がいなかった分、島の方々が抱える法律問題は根深いのかもしれず、これまでの業務経験を生かし、「困った人の力になる」という思いを果たせるのではないかと、徳之島での勤務を決意し、異動を希望したところ、転勤が決まりました。


法テラス徳之島 事務所前にて

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