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支援者・専門家のチームで目指す、本当の問題解決

更新日:2021年12月7日

 「ホリスティックディフェンス」実現への渇望
 勾留満期日の釈放。事件前と何も変わらない環境に独り帰っていく、知的障害を抱えていると思われる彼をただ見送ることしかできませんでした。流すまいと必死にこらえた涙で彼の背中はぼやけていたのに、その光景は今でも胸から離れません。
 福祉的サポートを必要としている彼をどこにも誰にもつなぐことができなかった、その後悔の塊を引き剥がすために、留学したアメリカで、「ソーシャルワーカーと弁護士の効果的な協働」を学びました。
 アメリカの公設法律事務所では、「ホリスティックディフェンス(Holistic Defense、包括的弁護)」という、弁護士がソーシャルワーカーを中心に他分野の専門家とチームを組み、家族関係や医療的な問題など法律問題以外のことも丸ごと解決することを目指す取組が主流になっています。
 そこで出会った、窃盗を繰り返すおじいさん。ソーシャルワーカーは、本人や家族と面会を重ね、窃盗の「本当の」原因を探っていきます。移民の問題は移民専門弁護士に、ホームレスの問題は地域の支援団体に、精神疾患の問題は近所の病院に、次々と「橋渡し」をして、チームに引き入れていきます。こんな見事なチームプレイを日本でも実現したい!と、期待に胸を膨らませて帰国しました。

 「拠点」を目指して
 法テラス千葉法律事務所に赴任して早10カ月。弁護士人生の中で最も「多種多様」な相談を受けています。マイノリティとして生きたアメリカでの3年6カ月間に、「助けを求めることへの障壁の多さと高さ」を痛感したからか、私は誰からの相談も断らないよう、意地になっています。
 多種多様な事件の解決に必要なソーシャルワーカーと協力する仕組みが、日本では、まだまだ整っていません。でも、もう後悔に涙することはありません。自分で「橋」を架けて渡りさえすれば、手を取ってくれる支援者・専門家サポーターが、ここ千葉にもいることを知っているからです。
 SOSを出せない人々をサポートする福祉関係者から相談を受け、出張相談に出かける私の日常は、そんな支援者・専門家サポーターとの大切な出会いの場でもあります。法テラス千葉法律事務所を「ホリスティックディフェンス」の拠点とするための小さな、でも確実な一歩になってほしいと願いながら、一人一人の相談者と向き合う毎日です。

法テラス千葉法律事務所
橋ケ谷 祐可 弁護士・社会福祉士
PROFILE
はしがや ゆうか/2010年弁護士登録。静岡県焼津市出身。
最近嬉しかったことは、子どもたちが泥警で遊んでいたとき、警察に捕まって牢屋に入れられてしまったお友達に、「うちのママを呼んで!弁護士だから、すぐにお話を聞きに行くよ!」と娘がアドバイスしていたこと(笑)

スタ弁(スタッフ弁護士)って?全国各地にある法テラスの法律事務所等で働く弁護士です。
詳しくはスタッフ弁護士のページをご覧ください。
スタッフ弁護士になりたい!という方はスタッフ弁護士採用サイトをご確認ください。

※掲載している所属やプロフィール情報は、令和3年8月時点のものであり、現在は異なっている場合があります。

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