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高齢者に寄り添う司法書士の原点 ~リーガルサポートの現場から~ 2

更新日:2018年6月28日

日本司法書士会連合会 法テラスとの連携推進委員会 佐野幸雄司法書士

【コラム】 佐野司法書士とゆく福祉機関訪問記 ~高齢者が自分らしく生きられる最後の場所を守る

 佐野司法書士に同行して、有料老人ホーム『フォーユー門真』を訪ねました。ここには、佐野司法書士が成年後見人をつとめるタッチャン(仮名)が入所しています。


Photo: 玉寄施設長(左)と佐野司法書士(右)

 タッチャンの部屋の前で、佐野司法書士が「タッチャン、こんにちは。」と声を掛けると、「佐野先生、こんにちは」という元気な声が返ってきました。部屋に入ると、まず、壁際に掛けられたコートのポケットに入っているお財布の中身を確認します。
 「タッチャン、今月は倹約したね」
 佐野司法書士の言葉に、タッチャンは笑顔を見せてくれます。
 タッチャンは、施設の職員と一緒に月2回買い物に行きます。買うものはチョコ2粒、缶コーヒー2本、チョコパン、アイスクリーム、ノート、鉛筆……と、毎回決まっています。なので、財布の中に入っている金額の見当はついています。でも、佐野司法書士は部屋を訪れるたびに財布の中身を確認して、ぴったり1万円になるように使った分だけお金を補充します。
 成年後見人として財産の管理をしながら、本人に財布を持たせている理由を佐野司法書士にうかがいました。

「自分でお財布を持っているのは精神安定剤のようなものです。
人は、お金を持っていると安心するんです。
だから、本人の人生を尊重するために、
少額でも持っていてもらうようにしています。」

この言葉の中に、成年後見の本質的なことがあるように感じました。

 タッチャンが生活する『フォーユー門真』の玉寄施設長に、司法書士が福祉施設に関わることの意味をうかがいました。

 福祉施設で一番不安なことは、やはり「お金」の問題です。たとえば、施設に入所した本人が貯金などを持っている場合、あとで家族が出てきたときに「何で自分のところに連絡しなかったのか」と言われることがあります。そのようなトラブルを避けるためにも、成年後見人が財産の管理をしてくれると助かります。


 ここは、頑張って生きてきた高齢者が、自分らしく生きられる最後の場所です。私たちは家族の代わりにはなれません。でも、「おはよう」と言ったら、「おはよう」と返してくれる人がいる。ホッとする瞬間がある。ここで暮らす方が、一瞬でも「一人ぼっちじゃない」と安心してくれればいいんです。
 これから、介護の世界は難しくなってくるのではないかと思います。高齢者の中に、「自分たちは当然介護されるべき」という知識を持った方が増えてきているのを感じます。私たちは生命を預かっていますが、決定権はありません。だから、司法書士の先生に相談して、どうしたら良い方向にしていけるかを一緒に考えていけることは心強いです。佐野先生は、通帳のチェックなどの金銭管理だけではなく、本人の今後の人生設計を考えながらやってくださるので、安心して本人のケアに専念できます。

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