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被災者起点を忘れない。“法律”が被災者のためにできること。-宮城県本吉郡南三陸町- 4

更新日:2018年6月28日

Q.復興にあたって自治体にはどのような課題がありますか

 まず1つは「住民の生活再建と支援のバランス」です。今までは被災者に対して保険や税金の減免など様々な支援措置が取られてきました。その支援をそろそろ元に戻していかなければなりません。すると「今までやってきた政策をやめるのか?」という疑問の声も上がることが予想されます。住民が生活を再建するためにはどう進めればいいのか?町としてどう手伝えるのか?を考えています。元に戻していくことと今までの支援措置の2つをうまくバランスを取って進めていくことが重要になってきます。片一方を極端に切ってしまうと後で非難の声が大きくなるので、ソフトランディングが必要です。
 次に「高齢者やいわゆる社会的弱者と呼ばれる方々の孤立」です。南三陸町の高齢化率は間違いなく上がります。その方々へのフォローをどうするのか、が重要になってきます。福祉分野のニーズに対する政策をいち早く進める必要があります。災害公営住宅を建ててもその中で孤立してしまう方がでてきてしまいます。そのために現在、福祉課では「福祉的な災害公営住宅を建てたい」と考えています。自分ではなかなか食事の準備などができない人のための『福祉仮設住宅』というものが現在3か所(20世帯)あります。そこでは法人に委託して食事の提供などを行ってもらっています。この方々が仮設から出る際に、通常の災害公営住宅で生活するのは難しいのでケアホームのような公営住宅が必要です。しかし、ただ建てるだけではダメです。公営住宅の入居希望者の中にはどちらに行けばいいのかを決めかねている人もいますし、そもそも災害公営住宅の意味が分からないという方もいらっしゃいます。そういった人々を今のうちから福祉の分野でお世話しておかないといけません。
 さらに自治体の課題で大きなものは、やはり「人口の減少」です。2年半で人口が2,500人程度減ってしまっています。これは、転出届の出ている方のみなので実際にはこの人数よりも多いかもしれません。町内から出てしまっている方の多くは近くの登米市や仕事を求めて仙台市に転出しています。人口の減少を食い止めるためには先ほど述べた2本立ての事業(防災集団移転・災害公営住宅)を早く進めなければなりません。さらに、仕事がないと町内から人がいなくなってしまうので若い人たちの働く場所を確保することも重要になってきます。

Q.法テラスへの要望はありますか

 法テラスが開所してからもう2年以上が経ちます。法テラスが設置された当初、自治体職員も含め町民は「法テラスってなにっさ?」という感じでした。南三陸町では、1人でも多くの方にお悩みを相談して頂きたい為に、防災行政無線で広報したり、法テラス南三陸の職員が作った「季刊ニュース」を南三陸町の広報誌と合わせて全戸配布したりなどの協力をさせて頂いています。今では、町内で法テラスの存在感が非常に高まりました。土地の区画整理をするにしても用地は全部個人のものなので、用地の名義の関係や相続の問題も増えます。こういった問題は複雑な部分が多いので、法テラスでも相談件数が増えているのではないでしょうか。また、復興計画の進行に伴って、高台移転工事や土地の買い上げで相続などの問題も発生しています。法テラスはこれからが正念場になるのではないでしょうか。

※震災法律援助業務による無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替については、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(震災特例法)」の失効により、令和3年3月31日新規申込受付を終了しています。

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