今回の震災により、事業場または関連事業場が被害を受け、当初の予定どおりは1年単位の変形労働時間制を実施できなくなった場合、週を超えて休日の振替を行うことは可能でしょうか。
更新日:2018年6月28日
今回の地震による被害甚大かつ広範に及んでおり、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、労使でよく話し合った上で、1年単位の変形労働時間制の労使協定について、労使で合意解約をしたり、あるいは協定中の破棄条項に従って解約したり、改めて協定し直したりすることも可能と考えられます。
- 労使協定において、1年以内の変形期間を平均して1週当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、1週に1回の休日が確保される等の条件を満たしたうえで、労働日および労働時間を具体的に特定した場合、特定の週および日に1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて労働させることができるとされています(労働基準法第32条の4、1年単位の変形労働時間制)。
- この1年単位の変形労働時間制を採用した場合、予期しない事情が生じ、やむを得ず休日の振り替えを行わなければならないときには、同一週内に限り休日の振り替えを行うことができるとされています。
- なお、1年単位の変形労働時間制は、対象期間中の業務の繁閑に対応するために対象期間を単位として適用されるものですので、労使の合意によって対象期間の途中でその適用を中止することはできないと解されています。
- しかし、今回の地震による被害は甚大かつ広範に及んでいることから、上記回答のような対応も可能と考えられます。
その場合でも、解約までの期間を平均し1週40時間を超えて労働させた時間について割増賃金を支払うなど、協定の解約が労働者にとって不利になることがないよう留意が必要です。