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被災者起点を忘れない。“法律”が被災者のためにできること。―岩手県上閉伊郡大槌町― 3

更新日:2018年6月28日

大槌町役場民生部町民課 中村一弘課長インタビュー

Q.震災直後から現在まで、職員のみなさんの様子はどうですか。

 震災によって家族や家をなくした職員もいましたが、自身が被災していても「町民が待っている!」「自分たちが頑張らなければ!」と、皆震災直後から無我夢中で動いていました。自治体の取り組みという意識ではなく、「今何をすべきか?」「今どうすればいいのか?」という感覚で動いていました。目の前に相談に来た方が苦しんでいれば少しでも和らげるように、足りないものがあれば少しでも補えるように、と様々な調整を行っていました。
 このように目の前の問題に真摯に向き合いながら仕事をしてきましたが、1年ほど経つとある程度、震災対応が落ち着いてきました。余裕が出てくると精神的な疲労が出てきていわゆるうつ病のようになってしまう職員も出てきました。そのような職員にはゆっくり休んでもらって、残ったメンバーでフォローをしています。そういう私も震災から1年経過した頃に精神的に落ち込んでしまった時期がありました。その時は家族に支えられ、また仕事をしなければならない使命感、町民の方々が待っているという思いで何とか復帰することができました。

Q.法テラス大槌が開所して何か変化がありましたか。

 法テラスができるまでは法律相談を希望される方には釜石市にある消費生活センターや岩手弁護士会の法律相談窓口を案内していました。大槌町内には法律相談に関する窓口はなかったので、役場のすぐ近くに法律相談だけでなく専門相談もできる窓口ができ住民ともども非常に助かっています。町民課の窓口に人権相談に来られた方でも専門的な問題があれば法テラスを案内しています。被災者の方の多くは家族が亡くなってしまい1人で悩み、問題を解決していかなければならないという状況に置かれています。法テラスができたことによって町民にとっては心の支えができたのではないでしょうか。
 自治体としては、法テラスを設置するにあたり、まず「法テラスって?」というところからのスタートでした。岩手県内で初の法テラス被災地出張所ということで大槌町のPRにもなるのではと思い、被災地出張所第1号のある宮城県の南三陸町に相談しながら準備を進めていきました。法テラスを設置する前には、ただ漠然と法律に精通している方が来てくれるのはいいと思っていましたが、今では大槌町になければならない存在だと思っています。困りごとについて早期に相談し、解決まで繋がる機関ができたことは自治体としては本当に心強いです。また、仮庁舎の裏にあるのですぐに案内ができます。町民だけでなく、自治体にとっても法テラス大槌は支えになっています。

法テラス大槌

※震災法律援助業務による無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替については、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(震災特例法)」の失効により、令和3年3月31日新規申込受付を終了しています。

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