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被災者起点を忘れない。“法律”が被災者のためにできること。-宮城県気仙沼市- 2

更新日:2018年6月28日

Q.気仙沼市の課題について

 気仙沼市にとって「迅速な復興」と「復興に対する住民の意向を適切に反映させること」を両立させることが難しい課題となっていると感じます。野ざらしになっていた瓦礫の大半は既に撤去され、津波で浸水した地区の区画整理事業、防災集団移転事業や災害公営住宅、防潮堤の建設等も本格化していますが、中には住民との合意形成がうまくいかないこともあるようです。住民の反発が万一訴訟などの形で噴出するようなことがあれば、私も対応にあたることになるかもしれません。
 また、気仙沼市では、震災前には74,247人であった人口が68,598人(平成25年9月時点)まで減少しています。お亡くなりになった方と行方不明の方が1,278人いらっしゃるので、4,300人余りの方が市外へ出てしまっていることになります。高齢化も進んでいます。復興事業の完成を待たず自力再建を進める方もおられます。復興事業をできるだけ迅速に進めながら、実情を踏まえた適切な形にしていくことも重要で、かつ難しい課題です。
 他にもさまざまな課題があります。原発事故の影響による損害賠償の問題、いわゆる震災関連死の問題、狭小な仮設住宅に居住することによる家庭環境の悪化の問題、事業所の被災による失業やそれに起因する負債の問題、工事のため多数往来するダンプや県外から来られる方々の交通事故の問題等、枚挙にいとまがありません。気仙沼市では、市民に情報を周知したり、警察や法テラス等とも連携しながらこれらの問題に対処しています。

Q.派遣されての感想と派遣の経験をどう法テラスへ活かすか

 気仙沼市役所に来るまでは、これまでに経験したことのない職場で仕事をすることに不安な気持ちもありました。ですが、実際に市役所に入ってみると、職員の方々のサポートを得ながら仕事を進めることができています。職員の方々から、地元のおいしい店や方言を教えてもらうこともあります。
 また、市役所での業務には、今までのスタッフ弁護士としての実務経験が活きていると感じます。ただ、スタッフ弁護士の時とは異なり、市役所では上司の決裁が必要なことが多いなど組織の中で行動することに戸惑うこともあります。また、法廷に出ることもないので物足りなさを感じることもあります。住民の方々はおそらく様々な法的問題を抱えているとは思うのですが、今の業務形態では市民と直接顔を合わせる機会がほとんどありませんし、直接住民の相談に乗ることも基本的に想定されていないので、もどかしさも感じています。
 市役所で受ける相談の内容は、スタッフ弁護士の時には経験していないものが多いので、ニーズに対応するために日々勉強が必要です。今後は、自治体に派遣されたからこそ分かることについて法テラスや弁護士会にフィードバックしていきたいと思います。自分自身にとっても自治体の実務を経験することで、業務の幅を広げることができるのではないかと感じています。
 自治体での業務は、とてもやりがいがあり、面白い活動だと思います。他のスタッフ弁護士にも是非トライしてほしい!と思います。

山本弁護士とともに働く総務課のみなさん。

※震災法律援助業務による無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替については、「東日本大震災の被災者に対する援助のための日本司法支援センターの業務の特例に関する法律(震災特例法)」の失効により、令和3年3月31日新規申込受付を終了しています。

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